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序章
その年の一年前、盛夏
空き地で建設用のショベル機械が、けたたましく泣き叫ぶ蝉の声をかき消す轟音を立てながら大地を力強く掘り下げていた。やがて、その脇で様子を見ていたアイロンパーマの大男が気怠そうに右手を上げると、ショベル機械はピタリと静止し、エンジンだけが低く唸り続けた。
大男は、おもむろに足元にあったブルーシートで包まれ、トラロープで乱雑に縛られた細長い「何か」を、その穴の中に足蹴にした。それがドスンと音を立てて穴の底へ落ちると、大男は加えていたタバコをその上に吐き捨て、再び右手を上げた。すると、ショベル機械が再び唸りを上げ、それを土で覆い始めた。
「白岩さん、電話です!」
遠くから男を呼ぶ声がした。白岩と呼ばれたその男は、土煙を嫌うように新しいタバコに火をつけながら、その場を立ち去った。彼の背後では、ショベル機械が、轟音をあげながら黙々と大量の土を放り込んでいた。




