送迎
「王子、ボストン博士は2週間後にいらっしゃるそうです」
キョウカはキアが車に乗る前に話した。
「了解した。キョウカも今日はゆっくり休んでくれ」
「ありがとうございます」
キョウカは礼をして、キアから離れた。
「王子、長い間ありがとうございました」
スウとスウ付きの秘書官のミリアが王子にお別れを言いに来た。
「スウ、ゆっくり休んでくれ。と言っても明日からはしばらく、学校に行って勉強しなくては、ならんか」
ケアは笑っていった。
「姫は学校が嫌いだったか」
「たまには我慢します。学校にはいやみな奴がいませんから」
「いやみな奴で悪かったな」
1人用のフリーフライングカートに乗って、スウの真後ろに着陸しながらローヤルは言った。
「えっ」
スウらはおどろいた。いくら小型のフライングカートでも、こんな人が多い中、着陸させるなんて、それも、人に気づかれずに。
「王子、護衛部隊、準備完了しました」
敬礼する。
上空に5機、フライングカートが待機している。
対戦車ミサイル6問装備の本格的、護衛カーだ。
都市部の護衛に当たる。長さ2メートル巾1メートル、垂直離発着用。
フレクス製だ。
「よし、わかった。では、宮殿まで頼む」
キアは手を上げた。
「では、また」
キアは前に止まっていたランドカーに乗り込んだ。
「はい、また、宮殿の方にはお邪魔します」
「おてんば姫もお元気で」
そう言うと、音もなしに、フライングカートを浮上させる。
「ちょっと、誰がおてんば姫よ」
スウがこぶしをあげた時は、もういなかった。
「姫、そういったところがおてんばです」
ミリアが思わず言った。
「えっ」
思わず手を引っ込める。
「あいつが悪いのよ」
「ローヤルは平民出の、行儀の良くない人間です。そんなのにかまっていてはダメです」
ミリアは説教をたれだす。
「ミリア、私もあなたと違って平民出よ」
スウがくってかかる。
「王女は選ばれた方です。ローヤルと比べないで下さい。さっ、行きましょう」
ミリアはスウを促した。
でも、勝てなかった。とスウは心の中で反論した。
多くのロイヤルファミリーと接触するに釣れて、ローヤルの素養は、おそらく、ロイヤルファミリーの中でも、ピカ一ではないかと、スウは感じるようになっていた。他の人間より、よほどロイヤルファミリーにふさわしいのではないかと。