名も無き……
勢いで書いたので、誤字脱字があったらすみません……
午前12時
君は惜しまれながら、パーティー会場から抜け出してくるんだろう。
そして、次の日、王子さまに見つけ出され、幸せなお姫様になるんだ。
『あなたは、それでいいの?』
黒髪の美しい魔女が、問いかけてくる。
『いいんだよ』
僕は、それに答える。
ずっと決めていた。
たとえ、仕組まれていた解答だとしても
僕は、そう答える。
あの子に、初めてあったときから決めていた。
『 』
たとえ、もう、その声が、僕を呼んでくれなくても
『君は、大馬鹿者だな』
魔女は、呆れて、帰っていった。
そう、僕は、大馬鹿者なんだろう。
3年後
僕は、病で命を落とす。
君の結婚式は、見れるかな。
君が、幸せになれたなら、それだけで、僕はうれしいよ。
__シンデレラ。どうか、幸せに
僕の太陽だった人
君の幸福を、永久に祈る。
.........
「 !」
ポタリ、ポタリと涙が零れる。
それが、紙に落ち、染みを作り始める。
握り締めるのは、幼馴染みが残した、日記の最後のページ。
あの日の事は、全部、幼馴染みのお陰だったのだ。
「読んだのかい?」
振り返ると、あの人同じ変わらぬ姿の黒髪の魔女。
「これは……」
「………大馬鹿者の願いさ。あれが望んだ、最後の望みを叶えにね」
「……?」
「あんたが望むのならやめてやってもいいぞ?」
「え……」
「国母となるお前を、永久なる幸福にさせろ、という願いだよ。あの辛かった日々を忘れさせてやれとな。」
「………⁉」
「嫌ならやめるぞ?私も、望んでするわけではないからな。」
「……………覚えときたいです。」
「ほう……?」
「あの頃の私があって、今の私なのですから……」
「……そうか、ならよい」
「あ……」
「なんじゃ?」
「なんで……彼は、」
皆まで言わせず、黒髪の魔女は、紅い紅のひかれた唇をあげた。
「そんなもの決まっとるだろう。男が、女に何かを与えるときは、恋慕の情があったからに決まっておる。」
ま、ほんとにそうかは、本人しか知らんがな
黒髪の魔女は、そう言って立ち去っていった。