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ゆめ、ゆめ

作者: 星合みりん

初投稿です。生温かく見守ってやってください…笑

『好きだよ』と男性の顔が近づいてくる…

(あぁ今日もこの夢か)

私は遠くで聞こえるメロディーに耳を澄ます。


♪ー!!

「やっば!」目覚まし代わりのスマホを見れば5時。いつもより遅いが寝坊ほどではない。社会人として2年目。国立大学をでて就職氷河期をくぐりぬけ今の会社に落ち着いた。

いつも通りの動作をこなし電車に飛び乗る。通学通勤ラッシュの一本前にのり悠々と座る。移りゆく景色を見ながら夢について考える。

いつもいつも何の流れか男性にキスされそうになって目が覚める。最初の頃は惜しい!と思い目を開けずにいたが寸止めの状態が続くだけ。自分から近づきたくても動けない。毎日そんなことを繰り返してるとあの寸止めを見てから起きると寝坊一歩手前で起きられることがわかった。ということで、夢の中の目覚ましとして最近は使用している。キスに至るまでシチュエーションは毎度わからない。気がついたらキスされそうなのだ。顔もわからない。声もこんな感じだったなぁって思い出せるぐらい。

夢について考えていると会社の最寄り駅に着く。彼氏いない歴=年齢の私は毎日の通勤で考える彼のことを疑似彼氏として扱っている。なにせ大学入学時からの付き合いなのだ。

会社につくと部署内のテーブルを順に拭き掃除を行う。新人の仕事だと言われているが、これをやらないと仕事モードがオンにならず部長に頼みやっている。ここまでしてやっと夢の彼のことを忘れられる。

出社してくる社員に挨拶をし仕事モードをオンにした私はパソコンと見つめ合う。2年目として新人に負けられない思いとまだまだわからないことが多い悔しさにヘロヘロになり残業一時間で退社。いつもは帰って寝る。会社をでたら仕事モードはオフ。彼のことを考えて過ごす。

時々自分でも病んでると思うが鏡で自分の体型をみる度に思い直す。BMI25~26を行き来する身体。つくとこにはしっかりついている。大学を出てからの出会いはなく痩せる気力もない。夢の彼と妄想するくらい良いじゃないか…

今日はどんな夢が見れるかな~


♪ー!!

「何時?!」ガバッと起きた私は驚き混乱した。そうか、私は高校生だ。変わらないのは体型だけ。起きるときにキスされそうになったこともない。未来を垣間見た?それともこっちが夢?

リビングに行き両親の顔を見るとずっと会っていなかったような毎日会っていたような不思議な感覚になる。

わからない…高校に行き友達と話し家に帰り寝る時間。

起きたらどっちか分かるかな…


♪ー!!

「!」いつもと違うアラームが聞こえる。いや違う。テレビで聞き慣れている。ここは病院だ。目が開かない。私は誰だ?

『あやね、あやね』誰かが私を呼ぶ声がする。そうだ、あやねだ。

知らない男の人の声もする『残念ですが…もう長くありません』

あ。そうだみんなと遊んでたら車がきたの。みんな逃げたのに動けなかったの。お空…飛んじゃった。そっか、おそらにいくのか。

これでわかった。

夢で聞き慣れた声もする『あやね、好きだよ』顔が見たかったなぁ。『すぐ会えるよ。あやねに会いたくて早く手続きしたら、あやねまだ10歳だったんだ。余りに早すぎるお詫びに夢であやねにいろんな未来見せたけどどうだった?』高校生だったり働いてたり…夢の夢で寝た気もしなかったよ『うん、精神はずっと起きてたからね』ところであなただあれ。『こっちについたら教えてあげる。今はゆっくりお休み』うん。なんだか疲れちゃった…

機械音が遠のく。いっぱいの泣き声と名前を呼ぶ声が聞こえる。心配しないでっていいたいなぁ。夢で大人の気分をいっぱい味わったし青春もした。お空に行っても待っててくれるっぽいひともいるし。たかが10年されど10年。濃かったなぁ…

おやすみなさい。さようなら。


ーーー 

病室から聞こえる家族の泣き声。

何度経験しても堪らない。エンゼルセットを用意し訪室のタイミングを伺う看護師は空を見上げる。あやねちゃん、あなた良い夢見れたかしら。お空で待っててくれる人はいるかしら。

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