表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆★ リリアと『ソードの不思議』 ★☆  作者: Jupi・mama
第一章 『色んな人との出会い』
3/5

『ゴードン』との最初の出会い (1)

     ☆ ★ ☆ (5)


 私はリズの発した言葉を繰り返し、少し大きな声で下に向かって告げる。


『ゴードン、私はあなたの声が聞こえるけど、今年はゴードンと出会って十年目なのね』


「えっ、樹の中から声が聞こえたけど……リズが話しかけているのか」


『そうです。私は永くここに存在しすぎて時間の感覚がないのよ』


「やはり俺の声は聞こえていたのか。それで、今まで赤い実を落としていたのか」


『そうです。ずっと聞こえていました』


「信じられない。今まで何も声は聞こえてなかったが……俺がリズと話しているのか」


『そうです。私と話しているのよ』


「俺の右手にブレスが存在してから、たまに俺の周りで不思議なことが起こるが同じことなのか」


『左手にブレスをしている人間はもう見つかったの?』


「そういうことも覚えていたのか。残念ながらまだ見つけられない」


『私の仲間があちこちにいるけど、皆は視覚がないから見つけられないのよ』


「リズは樹の仲間がいるのか。この前森の樹に助けてもらったことがあるが、リズが俺を助けてくれたのか」


『私の仲間が風の音で教えてくれたのよ。あなたのことは私の仲間は皆が知っていますよ』


「……信じられない……樹がそういうことができるなんて」


『私に人間の友だちができたから今から紹介するからね。もうそろそろゴードンがここに来ると思って待っていたのよ』


「人間の友だちとは俺みたいな人間なのか。その人間もリズと会話ができるのか」


『そうです。私と話すことができます』


「人間だといいが、樹の仲間が俺の前に現れると驚くな」


『私の仲間は地面に根づいているからその場から動けないのよ』


「確かにそうだな。樹が人間のように歩くとは考えられん。俺のブレスの話しも仲間は知っているのか」


『そのブレスのことは皆が知っています。でも探すお手伝いはできないわね』


「確かにそうだな。仲間がいても探すのは無理だな」


『私みたいな大きな樹は西の森にも一つしかないから、それよりも小さな樹の仲間ね。でも、ある程度の樹齢がないと話せないからね』


「その樹齢の意味も分からないが、小さな木ではだめなのだな」


『そうです。私の友だちに会ってもらえますか』


「人間であるなら会ってみよう」


『ありがとう、少し待ってね』


「分かった」


     ☆ ★ ☆


『リリア、お願いがあるのよ。彼の手伝いをしてくれない。赤い実を集めるのに三人の方が早いと思って、そうするともっとたくさんの実が落とせるからね』


「分かりました。私たちがお手伝いします。私たちもここに来てからほかの人間には会っていません。もう少しは聞きたいことがありますがよろしいですか」


『いいわよ』


「ゴードンは右手にブレスをしているのですか」


『そうみたいね。左手にブレスをした人間をずっと前から探していると言っていたけど、まだ見つかってないみたいね』


「私の弟は左手にブレスをしています。今からゴードンに見てもらってもいいですか」


『えっ、弟はほんとうに左手にブレスをしているの?』

 と、そう言った彼女の声の響きはとても驚いるように聞こえる。


「はい。私の弟はケルトンといいます。リズにはケルトンの声が聞こえますか」


『さっき少し聞こえたような気がしたけどね。たまに人間の声が聞こえるとほかの仲間も話しているけど……今はどうかしら?』


「リズとの会話を少し待ってください」と私が言うと、『分かりました』とリズはそう返事をしてくれた。


     ☆ ★ ☆


『ソーシャル、私のネックレスは外してもいいの? 試したいことがあるのよ』

『外しても大丈夫です』

『ケルトンの首に二つ提げてもいいの?』

『それも大丈夫です』

 と、彼女がそう言ったので、私のネックレスをケルトンの首にかけてあげる。


「ケルトン、私がリズに今から話すから、これでリズの言葉が聞こえるかどうか試してみてよ」

「分かりました」

 と、彼はそれしか言わないけど、今までのやり取りを聞いているので、私がネックレスを渡した意味が理解できていると思う。


 ケルトンはもちろん私の言葉は聞こえるけど、今までリズの言葉は聞こえないと言うし、たまに彼の目の前で口から声を出してソーシャルと話しているのを知っているので、私からの一方的な言葉は聞いているし、私の独り言のような言葉には少しは慣れていると思う。


「リズ、弟にもリズの言葉が聞こえるかどうか試したいです。何か話しかけてください」


『初めまして、私の名前はリズです。あなたの名前を教えてください』


「えっ、聞こえましたよ。私の名前はケルトンです。初めまして」


「ケルトン、聞こえたの?」

「はい、聞こえました。リリアのネックレスをしたからですか」

「そうみたいね。ゴードンもブレスだけではリズの言葉が聞けないのよ」

 と、私が咄嗟に閃いて、ネックレスを二本ケルトンに付けたことが正解だと思いそう言ってしまう。


『ケルトン、よかったですね。私がゴードンにブレスを見るように話すからね』


「はい。よろしくお願いします」


『そうね。リリアが直接自分の言葉で話してもいいわね』

 と、彼女がそう言ってくれたので、私は自分の言葉で伝えることにする。


     ☆ ★ ☆


「ゴードン、お待たせしました。ケルトンという子供が樹の裏から現れますので、左手のブレスを見てもえますか」

「その子共が左手にブレスをしているのか。ほんとうなのか」

 と、彼は座ったままで少し驚いているようにそう話しているが、右手で樹の根をつかむようにして立ちあがる。


「さっきの会話を聞いて教えてくれました。確認してください」

「分かった」

 と、彼はそう返事をして、少し樹から遠ざかるように馬車の方へ歩き出した。


     ☆ ★ ☆


 私はケルトンと一緒に樹の裏側に回り、彼だけを降ろしてさっきの枝に戻ったけど、ここからでは葉や幹が邪魔して全体的に見えないので、少しだけ下の方へ移動する。


「初めまして、私の名前はケルトンといいます」

「初めまして、俺の名前はゴードンというが、ケルトンは何歳になったのかな?」

「はい。私は十歳です」

「なるほど。十歳なのか。左手のブレスを見せてもらえるのかな?」

「はい。これです」

 と、彼はそう言って、自分の左手のブレスをゴードンの視線の位置に差し出す。


「確かに同じ物だ。俺は左手にブレスをしている人間を探していた。俺はこのブレスを君に渡したいが外し方が分からない。ケルトンは知っているのかな?」

 と、彼がそう言った声が聞こえるから、

「ゴードン、上からケルトンのブレスに一度だけ軽く触れ合わせてください」

「分かった。今からやってみよう」

 と、彼がそう言ってから触れ合わせると、ほんとうにブレスが外れて地面に落ちる。


 触れ合わせた場所が、お湯の中に入れたちょうつがいの貝の口がぱっくり開いるようになったのが、私の視界からでも確認できる。


「ゴードンのブレスが外れました」

 と、ケルトンは私の方を向いて叫んでいる。


「今までどうしても外れなかったが、俺のブレスがほんとうに外れたぞ」

 と、ゴードンはそう言いながら、自分の右手首を左手でなで回している。


「ゴードン、そのブレスをケルトンの右手にはめてください。開いている部分をくっつけると前と同じようになります」

 と、私がそう説明すると、

「分かった。ケルトンであれば俺のブレスを譲ってもいいだろう」

 と、彼はそう言ってから、下に落ちたブレスを拾い、言われたとおりにケルトンの右手の手首を取り囲むようにしてから、開いた部分をくっつけると自分の手首にあったようにつながり、そのつなぎ目がなくる。


「ゴードンにブレスをはめてもらいました」

 と、ケルトンはまた私の方に叫んでいる。


「ケルトン、後ろを振り向いて二回触れ合わせてみて」

「はい」

 と、彼はそう返事をしてから後ろを振り向き、私がいつもやっているように、右手を上にして左手の手のひらを上に向け、左右の手のひらを向き合わせてブレスを二回触れ合わせている。


『ご主人様、何かご用でしょう』


「えっ、あなたは誰ですか」

 と、ケルトンがそう言った言葉が私には聞こえる。


『私はあなた様のソードです』


「リリア、ソードが話しかけてきました」

 と、ケルトンは驚いた様子でそう叫んでいるようだ。


「今度は三回触れ合わせてみて」

 と、私が少し大きな声でそう言うと、

「はい」

 と、ケルトンはそう言ってから、左右の手のひら同士を三回触れ合わせているのが見える。


「リズ、どうなっているのだ?」

「リリア、ソードが出てきました。すごいです。浮いています」

 と、またケルトンは驚いた声の響きで叫んでいる。


「よかったね。もう一度触れ合わせて」

「ケルトン、それは何だ? リリアとは誰だ?」

 と、ゴードンはケルトンの左後ろからそう言っているけど、そのソードを見るためにケルトンの横まで移動しているようだ。


「あっ、これは私のソードです。リリアは私の姉の名前です」

「ケルトン、早くもう一度触れ合わせて」

 と、ゴードンがそのソードを持てば大変なことになる思い、 私は早口で強めの言葉でそう言ってしまう。


「はい」

 と、そう言いながら左右を一回触れ合わせると、そのソードが消えたのでホッとする。


「ケルトンはひとりじゃないのか」

「……」


「ケルトン、ゴードンにブレスのお礼にそのネックレスを両方渡して」


 ケルトンは左側にいるゴードンを見ているようだが言葉が出てないので、私がゴードンに聞こえるようにそう言ってしまう。


「はい。ブレスのお礼です。この二つのネックレスを首からかけてください」

 と、彼がそう言いながら自分の首から外して渡すと、ゴードンは受け取ったネックレスを不思議そうに見ているけど、何も言わずに自分の首にかけるが、今の段階でソードの話しを追求されないようにしたい。


「リズ、ゴードンがネックレスをしたので話しかけてください」


『……ゴードン、私はリズです。聞こえますか』


「さっきの声とは響きが違うがどうなっているのだ?」


『これが……私のほんとう声です。今から姉のリリアが説明するからよく聞いてね』


「……分かった。俺にも意味が分かるように説明してもらいたいものだな」

 と、ゴードンがそう言ったけど、私が聞こえた彼の声の響きからでは、何を考えているのか分からない。


「今から下に降りますから少しお待ちください」

「えっ? どいうことだ?」

 三回目を読んでいただき、ありがとうございました。

 言葉の不思議がだんだんと解明されていきます。


 ネタバレを一つ紹介します。ゴードンの年齢は55歳です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ