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※ちょっと短いです、すみません
部屋から突発的に出て行ってクラウスに会いに行って、想いを告げて両想いだと分かったときには神を恨んだ。なぜクラウスではなくあの男なのかと
神殿に行ってセレナエに話しに行こうとしたけれど、神殿の警備が異様に強まっていてとても入る気にはなれなかった
しかしそんな思いなど声に出せるわけもなく、クラウスもだんまりだしこれ以上思っていても・・・と考え始め、悲痛で泣き叫びたいくらいのクラウスへの想いを張り裂けそうな胸に秘めることにした
そして、そんな日が続き、ついに結婚式の日となってしまった
白の伝統的なドレスに、華やかに化粧された顔、お母様と同じ栗色の髪は結い上げられ特別製の王冠が頭のてっぺんに乗せられている、そんな様子を目の前にある鏡で見つめ、なんとも言えない気持ちになっていた
他国には、政略結婚なんていうものもあるらしいけど、国の為って感じだし、私の国のほうよりそっちの方がいい気がしなくもない
「はあ・・・・」
私はそんな考えをしだして、ため息をついてしまった
「あらあら、とてもめでたい日なのにため息なんてついてはいけませんよ」
丁度その時、そうやわらかく私を諌めるお母様の声が聞こえて、私は後ろを振り返る
さわやかな青のドレスを着たお母様が、振り返った私の近くまで来ると、さっきの言葉の続きのように、話し始めた
「いいですか、ドロテア。貴女にとってこの結婚はとても辛いかもしれない。けれど今日ばかりは、貴女はこの国の姫として国民の前に立つということを忘れずに居なくてはいけません」
しっかりとした意思の籠った目で、お母様は私を見つめる。私はその目に惹きこまれ、何もいえずにお母様の言葉を聞くことしかできない
「ですから、嘆くのはおやめなさい。・・・・嘆くのはこの式が終わってからでも、この母の胸ですればいいのです。分かりましたね?」
「・・・・・・・・はい、お母様」
お母様が私の頬に手を添えながらそう言ってくるので、私はしぶしぶといった様子でうなずくしかなかった
「・・・・・・・・・・・にしても、おかしいわね。王国の歴代の神の告げた結婚相手に抵抗感を感じた人なんて、そういないと聞いていたのに・・・・・」
話し終えたお母様が、私の頬から手を離し、部屋から出る際にそう疑問に思ったらしいことを口に出されたが、その疑問は解決できないまま出て行かれてしまった