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小さい頃からドロテアに仕えてきたメイドのマリアは悩んでいた


ドロテアが、お披露目の儀から日に増して元気がなくなっていくのだ


原因は分かっていた。もちろん、結婚相手がクラウスではなくグレオであるということだったが、もうひとつあった


クラウスが以前と比べてドロテアと話さなくなった、ということだ


ドロテアはクラウスと話したがっているが、当の本人であるクラウスが、廊下などでドロテアと顔を合わせてもただ会釈をしてその場を去る、という行為を続けているため、会話など成り立ったためしがない


マリアは二人が惹かれあっているの薄々感付いていたが、この国のあのしきたりがあるため、応援はできても付き合いを始めさせることはできなかった


しかし、ドロテアの様子を心配して業を煮やしたマリアは、クラウスの部屋まで押しかけてなぜ話さなくなったのか、理由を問いただした


するとクラウスは


「ドロテア様はもうグレオ様の奥方になられるお方だ。そんな方に、近衛騎士長の俺のような身分のものが気安く話しかけていいはずないだろう」


そう返事を返してきたのだ。その返答にマリアは


「いままでその可能性があったにも拘らず姫様と話してきたじゃない!今更なに臆病風吹かせてるのよ!それともなに?!姫様がこのまま元気をなくされて衰弱死されてもいいって言うの?!!」


クラウスに対し、声を張り上げ喝を入れた。しかし、そんな言葉を無視して、クラウスは


「そんなことを言っているんじゃあない!今のドロテア様に必要なのは俺離れをすることなんだ!例えそのせいでドロテア様の機嫌が悪くなろうとも・・・・これも教育の一環として接しているんだ。・・・・・・もう、ほっといてくれ・・・・」


悲しげな顔で、泣きそうな声で、マリアに言葉を継げ、マリアを強制的に部屋から追い出してしまった


マリアはむきになり、クラウスの部屋のドアの前で


「何年近衛騎士長やってるのよ・・・!このっ・・・・!意気地なし・・・・!」


そう叫びながら、ドアを自分の足で思いっきり蹴ってその場を去っていったのだった


「そんなことぐらい・・・・分かってるさ・・・・分かってた、はずだったんだよ・・・」


そんなクラウスの悲痛な呟きも聞かないまま



「マリア?どうしたの、そんな怒った顔をして・・・。私また何かやらかしちゃった?」


ドロテアの元へ帰ったマリアは、先ほどまでクラウスとの話の論点になっていたドロテアにそう言われ、表情を歪ませる


自分のほうが辛いくせに、メイドである自分に心配をかけまいと笑顔で接してくれるのだから


マリアは無礼を承知で、ドロテアに泣きながら抱きついたのだった

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