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第4話:【クナイセン一家】


皆様、こんばんわ~♪


前書きから本文まで色々と試行錯誤してる暮灘です(^^;




さてさて、今回のエピソードは…


サブタイトル通りに【クナイセン一家】の顔見せ回となります(^_^;)


つまり、クナイセン小隊長車の運転手/通信手/装填手が出てきますよ~♪


なんというか、微妙な面々ですがよろしくお願いします(__)




そして、その裏側で史実では有り得ない【プロイセン(ドイツ)とアメリカの繋がり】みたいな物が薄々表現できてたらなぁ~と(;^_^A


まだ派手なドンパチは無いですが、楽しんで頂ければ嬉しいッスよ~☆








スポーツクーペ【BMW327】に乗り込み、アウトバーンを走りながらバイエルン駐屯地へと車を走らせるのは《キンベル・クナイセン》中尉と、屋敷では専属侍女(お付きのメイド)、戦場ではクナイセンの戦車の砲手を勤めるちんまくて華奢で平べったい(見た目は)幼女の《レニ・ベルグカッツェ》上等兵だった。


「なあレニ…」


「なに?」


「そんなデカブツ、本当に"ティーガー"に持ち込むのか?」


クナイセンが見てるのは、レニが大事そうに抱えてる細長い…体感的には、レニの身長程も有りそうなライフル・ケースだ。


「うん。ティーガーだって、無敵でも無敗って訳でもない筈でしょ?」


いざとなったら…具体的に撃破された時に生き残っていたならという話だ。




因みにレニがケースに入れて持ち込んでるのは、


【G41GA】


と呼ばれる半自動(セミオート)ライフルだった。


最初の"G"は【ゲヴェール】、つまりドイツ語のライフル(小銃)を意味し、"GA"は【ガーランド・アメリカ】を意味する。


"冬戦争"でプロイセンはソ連軍が大量に装備していたモシン・ナガン、トカレフ、シモノフ等々のセミオート・ライフルの火力の前に何度も煮え湯を飲まされた(もっともソ連軍も同じくプロイセン軍のサブマシンガンに同じく痛い目に合わされたが)。


その解答の一つが、既に1936年にアメリカで正式化され、先の太平洋戦争でも大活躍した【M1ガーランド半自動小銃】をベースに、プロイセンが第一次世界大戦以前からから大量に備蓄していた【7.92mm×57弾(8mmマウザー小銃弾)】用に再設計し、またその際に8発1セットで1つのクリップ(装弾子)に加えこませ、それごと装填して弾切れになればクリップが排出される【エンブロック・クリップ装填式】からオーソドックスな【10連発固定弾倉式】に設計変更されている。


固定式弾倉への装填は1発1発を指で押し込む事もできるが、現在のプロイセン主力小銃である【Kar98k】用の装填子(チャージャー)を使って5発一気に装填する事も可能となっている仕様だ。


去年からカール・ワルサー社がメイン・コントラクターとなって生産が始まり、今年(1941年)の始めに纏まった数が納入され軍正式化された最新モデルだった。




ちなみにレニが愛用してるのはG41GAの中でもレアな【狙撃仕様(シュナッファー・スペツァル)】と呼ばれるモデルで、簡易二脚(バイポッド)と"ZF-41"というツァイス社製の4倍スコープを標準装備している。




☆☆☆




「近接戦じゃ役立たずのボクがご主人様を守るなら、ボクの小さな穴全部を散々こじ開けたお返しに、狙撃でアカの額に穴開けて近づけさせないのがベストだからね」


「なるほど」


クナイセンは冗談とも本気ともつかないレニの言葉に一定の説得力を感じたのか、そう小さく頷いた。


「遠距離狙撃か……砲手らしい考え方ではあるかな?」


「そういうこと♪」




車がバイエルン駐屯地に着いたのは、それから30分ほど経ってからだった。









**********




さて、門兵に身分証明書を提示し駐車場に愛車を停めると、クナイセンは顔馴染みの衛兵にキーを預ける。


クナイセンがレニを引き連れて駐車場を横切っていると、


(ほう…)


クナイセンの瞳に映ったのは、全体のデザインにプロイセン車では有り得ない程に流線形を取り入れた、有り体に言えば【SFにでも出てきそうなデザインの車】だった。


「【クライスラー・エアフロー】か…」


販売された34年当時としては前衛的過ぎるエクステリア・デザインと革新的な技術投入が成された野心的な設計の車だったが、逆に余りに破天荒なデザイン故に市場では"奇抜過ぎる"と敬遠され、【アメリカ本国では商業的に失敗した】とのレッテルを張られ販売終了した車だった。


しかし、アウトバーンやベルリン・オリンピックで沸き上がりるプロイセンではその先進性なコンセプトと抑えた価格設定が受けて、36年にオリンピックに合わせて運び込まれ会場で展示/デモンストレーションされるやいなや、初回輸入分5000台はあっという間に売り切れるという事態となった逸話が残っていた。


また、太平洋戦争の戦争特需やトート機関推奨国策の一つである超低金利自動車ローンの拡充も後押しとなり、経済発展が順調なプロイセンでは昔に比べて遥かに裕福になった若者を中心的購買層となり、未だコンスタントに売れるベストセラー輸入車となっている。


最も目の前の"エアフロー"が目を惹くのは、造形よりむしろアバンギャルドなカラーリングだろう。


標準仕様では有り得ない、黒地に燃え盛る炎をモチーフにしたフレア・パターンを大胆に配するという、アメリカーン的な意味ですっ飛んだ仕様だ。


「あ〜、こういうのに乗りそうな知り合いは一人っきゃいないな」


「ご主人様?」


クナイセンの呟きに不思議そうな顔をするレニだが、


「《ミック》がもう来てる…急ぐぞ」


どうやら、クナイセンには車の持ち主に心当たりがあるようだった。




☆☆☆




「よお、大将! 思ったよりお早いお着きじゃねぇっすか?」


クナイセンとレニが基地内の集合場所に着くなり、そうスオミ訛りのドイツ語で声かけてきたのは、どことなくチャラい(笑)印象の金髪碧眼、オマケに長身と三拍子揃った、一等兵の階級章を付けた青年だった。


「よお、《ミック》。フレア・パターンの"エアフロー"、お前のだろ?」


「へへ〜ん! 良いっしょ?」


どうやら愛車がよほどお気に入りなのか、世にも上機嫌な北欧系の青年である。




とりあえず、彼の事を紹介しておこう。


《ミカエル・ハッキネン》一等兵


かつて"冬戦争"ではフィンランド軍の偵察部隊に所属していたが、その時に見たプロイセン軍の圧倒的な力に憧れ、プロイセンに移民し軍に入り直したという経歴があった。


大の車好きで、それが高じて最初は自動車化偵察部隊にいたが、部隊内でやってた"賭けレース"が上官にばれてあわや【不名誉除隊】になりかけた時、


『転がすのが四輪じゃなくて戦車になっちまうが、それで良けりゃウチに来るか?』


と声をかけたのがクナイセンだった。


以来、ハッキネンは『クナイセン隊長は、俺にとっては大将閣下も同じでさぁ!』と敬意と友愛を込めて"大将"と呼ぶようになり、クナイセン戦車の運転手を務めていた。




☆☆☆




「ああ。確かにいい車だ。フォード…いや、リンカーンだったか?の"ゼファー"も悪くないが」


「あ〜…大将、駄目駄目。確かにゼファーはエアフローと見かけは似てますけどね、設計新しいクセに中身の思想が保守的過ぎて、パワーも空力も劣るんすよ」


なんて車談義で盛り上がろうとした時、


「ハッキネン、他のメンバーは?」


言葉を挟んだのはレニだった。


車長のクナイセンに砲手のレニ、運転手のハッキネンが揃えば残るは装填手と通信手だ。


「そろそろ来るんでねぇの? 連中が住んでんの大将の屋敷よりゃ近いし」


なんて事を言った途端、


「たぁ〜いちょお〜♪」


"どんっ"とクナイセンの腰に倒れないようにタックルしながら、粘着榴弾(笑)のようにベットリと貼り付く感触が走る。




「《アレク》、いつも言ってるが…いきなり人に抱きつくな」


クナイセンの視線の先にいたのは、サイズ的にはレニよりは大きいがエウレカといい勝負の、軍服を着た線が細い女の子…もとい。女の子にしか見えないが性別的には男、いわゆる【男の娘】だった。




☆☆☆




彼女のような彼の名は、《アレクサンドル・シュトラッサー》二等兵。


肩にかかる色素の薄いさらさらの髪にエメラルド色の瞳、温厚そうな整った顔立ちに何より変声期を迎えてないようなボーイ・ソプラノの声が特徴の通信手だ。


アレクも本人のせいではないとはいえ、色々と部隊内に風紀的な問題が多発…


ぶっちゃけ、訓練生時代からアレクを巡る醜い男の争いが頻発し、頭を抱えた人事部が『面倒な変わり種を集めて部下にするのが趣味』と噂されていたクナイセンに、半ば厄介払いされる形で配属されたのだ。


階級からも判るように、言うまでもなく最年少だ。




「……アレク、いつまでご主人様に抱きついてるのかな?」


「隊長分の充填が終わるまでだから…あと半日くらい?」


"スチャ"


レニの腰のホルスターからコンバット・ロードの【ブローニング・ハイパワー】が、アレクのホルスターから【ワルサーPPK】が引き抜かれたのは、ほぼ同時だったという。


「今まで楽しい思い出をありがとう。シュトラッサー二等兵」


「いえいえ。隊長は僕に任せてお先に逝っていいですよ? ベルグカッツェ上等兵殿」


「コラコラ」


クナイセンはツッコミを入れながら、二人を諌める。


本来なら兵同士が上官を巡り駐屯地で拳銃を突き付け合うなど軍法会議ものだが……

どう見ても子供同士のケンカにしか見えない二人のビジュアルに加え、奇人変人貴族と名高い(?)クナイセンを見た途端、


『はいはい。クナイセンクナイセン、ワロスワロス』


で軽ぅ〜く流されてしまうのだ。




☆☆☆




「あとは《ゴーリキー》だけか…」


未だガンをくれ合うレニとアレクの頭を、二人まとめてヘッドロックしながらクナイセンが呟くが、


「大将、《おやっさん》ならさっきからいっけど?」


「…んだ」


ハッキネンの視線を追うと、立っていたのは巨大ドワーフ…ではなく、背は低いが巌のような筋骨隆々とした体つきの寡黙な装填手、《ゴーリキー・ボルコフ》伍長だった。


名前から分かるように、ロシア系…11〜2歳の時にロシア革命でボリシュビキに叩き出された亡命ロシア人の一世で、元々はウラル辺りの木こりだったらしい。


『ワシは学がないダス。有るのはバカ力だけダス』


という理由で軍に入隊。

二等兵からの叩き上げで黙々と戦車主砲弾の装填手をこなし、その過程でエンジン整備等も学びながら一歩一歩出世してきた。


無口で人付き合いは苦手。

趣味はウォッカをたしなみながら渓流釣りを楽しむくらい。


【クナイセン一家】の中で唯一の30代であり、当然のように最年長だった。




☆☆☆




「よし。全員揃ったな?」


どんなにぬるく見えても軍隊は軍隊、クナイセンの言葉にレニ/アレク/ハッキネン/ボルコフが一斉に敬礼する。


クナイセンは返礼しながら、


「せっかくのクリスマス休暇にすまなかったな」




この個性豊かな面々こそが、


【プロイセン皇国陸軍第18機甲擲弾兵師団】


の師団麾下戦車連隊第1大隊第2中隊第2小隊の小隊長車に座乗する、通称【クナイセン一家】のメンバーであった。









次回へと続く





皆様、ご愛読ありがとうございましたm(__)m


過去にないほどのお気に入り登録の少なさに、内心焦りまくりの暮灘です(汗)




それはともかく、【クナイセン一家】全員集結の回は如何だったでしょうか?(^^;


個人的には、フレア・パターンの【クライスラー・エアフロー】がお気に入りです♪ってキャラじゃないんかいっ!?( ̄□ ̄;)


いや、セルフツッコミは程々にしても、キャラはやはり頭を痛めて作った子達だけに全員気に入ってるんですが…


今回のエピソードの裏テーマって、


【アメリカで失敗した車がプロイセンではベストセラー】


とか、


【太平洋戦争をやっててもアメリカはプロイセンに平然と自動車を輸出していた】


って事なんですよ。

実は史実では、いかに大国アメリカでも欧州を支援しながら日本と戦う為に、太平洋戦争開戦から市販車生産を自粛して軍需一辺倒に産業を振り分けた時期があるんです。


しかし、PPGの世界では民間マーケット向けの生産は鈍化せずに平然と輸出まで行われていた…


つまりこれは、


【日本と大きく余力を残した状態で戦争を遂行した】


という意味なんです。

それには、プロイセンの…いや、ラプンツェル・トート博士一派を中心とする産業的な意味での暗躍があり……


なんて舞台裏があるのですが、それは物語が続くなら、またおいおい(^_^;)




それではまた、皆様に次回もお会いできる事を祈りつつ(__)





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