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第20話:【1939年におけるラドガ湖北部の情景】


皆様、こんばんわ~♪


土日に何とか時間が作れたので、書き上げられてホッとしてる暮灘です(^^;


さてさて、今回のエピソードですが……


クナイセンとルーデル閣下とヘイヘの旦那がPPG世界で出会った


【1939年の冬戦争】


を1闘回想シーンとして切り取ってみました。


恐らく、41年以降(おそらく45年まで)の戦争は、クナイセンを初めとする何人かの視点で描かれると思いますが、今回は過去の映像記録風な執筆スタイルをとってみましたf^_^;




冬戦争におけるコッラの戦い……そのクライマックスで、フィンランド軍とプロイセン軍がどう戦ったのか?


イメージだけでも伝われば嬉しいなぁ~と(^^;




またほんのちょびっとですが、色々な有名どころが出てくるエピソード、楽しんで頂ければ嬉しいッス☆








ラドガ湖北方、フィンランド領土がソ連領内に突き出た場所……通称【ヒュルシュラの鉤】と呼ばれてる地域がある。


史実においても"冬戦争"や"継承戦争"有数の激戦地だ。


いやヒュルシュラの鉤より、特に局所的な激戦が多発したこの地を流れる小川【コッラ川】にちなんだ一連の戦い、【コッラの戦い】と言った方が分かりやすいだろうか?




クナイセンにルーデル、そしてヘイヘ……


この三人が同じ戦場……【コッラの戦い】の地で始めて合間見えた時、ソビエト赤軍にとっては建軍以来おそらくは最悪の日となった……










**********




【白き死神】の二つ名を持つシモ・ヘイヘをはじめとし、丘に攻め寄せた4000名の赤軍を退けた32名のフィンランド狙撃兵を殺す為……


その為だけに集められた15000名余のソビエト赤軍兵は、戦車に跨乗したりあるいは野砲を牽引するトラック、もしくは馬車や徒歩で雪中行軍をしていた。


この時、実はソビエト赤軍は重大な人選ミスをしている事に気付いていなかったようだ……


『敵を過剰警戒し士気に問題があり、サボタージュの可能性がある』


として先の戦い、【たった32名の前に敗北し、撤退した4000名の生き残り】を外し、シベリアにあるとされる後方の"矯正収容所"に送ったのだ。


つまりは前回の経験(失敗)を現場レベルで知る者は皆無で、


【どう足掻いても狙撃銃では撃ち抜けない戦車を戦闘にし、数に任せて圧せば簡単に蹂躙できる】


という上層部の言葉を鵜呑みにした赤色軍人のみが集められ、政治将校の過剰な鼓舞もあり士気のみが無駄に高かった。


だが、上層部の判断や【ヘイヘ殲滅特別編成師団(仮称)】の認識が間違っていたかと言えば、そうとも言い切れない。


そもそも、32名の敵兵相手にソビエト式編成の1個師団相当の兵力を当てる方が非常識であり、500倍の戦力差で勝てない方がおかしいのだ。


繰り返すが……

赤色紳士諸兄の認識は間違ってはいない。


確かに相手が32名のフィンランド人"だけ"なら被害はどうあれ(そしてスターリンにとって戦死者は統計上の数字に過ぎない以上)、おそらく勝っていたのは彼らなのだから。




……だが、残念ながら現実はそうでは無かった。




☆☆☆




ヘイヘ達が陣取る【コッラの戦い】最大の激戦地である【殺戮の丘】が見えてきた時、赤軍の士気ははち切れんばかりだったという。


丘から行軍が丸見えなのはわかっていたが、大軍を展開しながら突撃できる場所は限られていたし、何より自分達のたかが丘一つを制圧するには【常識外れの大軍】を見たら戦意が挫かれ、自分達は戦う前に勝利する可能性すらある……そんな都合のいい考えを持つ者も少なからずいた。


特に上級士官(と政治将校)ほど、楽観視する傾向が強かったらしい。


贅沢を言えば【ラドガ湖北部戦域(ソビエト呼称)】の制空権を握りたかったが、ドイツ人から【メルス(フィンランドのBf109の呼称)】とかいう戦闘機を受け取った少数のクセに小賢しいフィンランド人達のお陰で、中々上手くいってなかった。


特に【モロッコの恐怖】とかいう仰々しい渾名持ちの傭兵隊長(ソ連の誤認)に率いられ、この地に展開したフィンランド人は雪の中でも雪の空でも粘り強く、思うように成果が出せなかったのだ。


『しかし、それも今日で終わる』


それがソ連赤軍の共通見解だった。


予定の時間を過ぎ、いつまで待っても航空支援が到着しないのは気になったが、それでもこの戦力差なら潰せない訳は無かった。








**********




さて、結論から先に言えば……

とっくの昔にソ連の地上攻撃機隊は、スオミの空で壊滅していた。


スオミの空を大した防空警戒も取らず堂々たる大編隊で飛行していた爆装し鈍重な赤軍軍用機群に、太陽を背にして上空から殴りかかったのは、最新鋭と言っていい2種類のプロイセン製戦闘機……フィンランドに供給(メッサーシュミット社より売却)された【Bf109E】とプロイセン空軍の主力戦闘機【He100D】だった。


しかも操るメンバーが、何れも洒落にならない面子ばかりだったのだ。


代表的な名前を挙げるだけで、Bf109なら"イッル"こと相対未来においてフィンランド空軍最強の【無傷のエース】と呼ばれる期待の新人エイノ・イルマリ・ユーティライネンに、史実の"冬戦争"時点では最大の撃墜数を誇る《ヨルマ・サルヴァント》。

そして、どういう訳か史実と違って既に戦闘機乗りになってたフィンランド空軍の誇るお笑い系(?)最終兵器、【スオミ版"空飛ぶカミジョーさん(笑)"】……

もとい。『にぱぁ〜』…いや、"ニパ"こと《ニルス・"ついてない"・カタヤイネン》だ。




He100に至っては、《アドルフ・ガーランド》に《ヴェルナー・メルダース》、そして《ヘルムート・ヴィック》という"スペイン内乱"でトップエースの座を競った、当時の【プロイセン版三羽烏】が揃い踏みという恐るべき布陣だったのだ。




☆☆☆




冬空は既に戦場ではなく、この作戦の為に抽出された【フィンランド/プロイセン臨時混成戦闘機群】のハンティング・フィールドでしかなかった。


その情景は人に飼われて肥りすぎ、飛ぶのがやっとの鴨の群れを、野生の猛禽が襲う姿を彷彿させた……




そして、自らの航空部隊が壊滅した事を知らない赤軍の【丘攻略部隊】の頭上から、ついに【魔王の驚嘆の一撃】が降り注いだ……




☆☆☆




ルーデルが仕切る中隊を含む【Ju87急降下爆撃機】隊は、クナイセンの適切かつ的確な誘導の甲斐もあり、完全なる奇襲に成功していた。


曇天を裂くように天空より響く【ジェリコのラッパ】……


そのどこか神話的な情景の中から、逆落としで迫り来るスツーカの群れ……


『シャイセッ!!』


気合一閃に投下された爆弾を、ただ呆然と見上げるしかない赤軍兵士達……


虚を突かれた上、まともな地対空火器を持たないソビエト赤軍に、もはや成す術は無かった。




急降下爆撃と機銃掃射……その結果、あるいは"対価"として量産された数えるのが億劫になる程の燃えへしゃげ叩き潰された戦闘車両の残骸……


赤軍地上戦闘集団の先鋒は、スツーカ隊が飛び去った時にはさながらスクラップ置き場の様相を呈していた。




だが、それでもクナイセンの用意した"災厄"は、まだ始まったばかりだったのだ。




☆☆☆




辻斬りのような急降下爆撃の後、混乱から立ち直る暇など与えないとばかりに降り注ぐ、丘より遥か後方に陣取っていた砲兵隊より放たれた野砲/重砲/ロケット弾混合の【鉄と炎の集中豪雨】……


だが、赤軍にとっての不幸は再びクナイセンにより統制されたそれは、【機甲戦の前段階】として行われる短時間の支援集中砲火、"効力射"だった。




最後の仕上げは、最新鋭のIV号戦車ばかりが配備された《エルヴィン・ロンメル》率いる完全装備の純然たるプロイセン式戦車隊だ。


【ロンメル突撃旅団】の異名を持つこの部隊は、爆撃と砲撃に混乱する敵の隙を突き、後方と側面からの半包囲陣形で強襲したのだった……


砲撃の終わりと突撃の開始の合図である発光弾をクナイセンが打ち上げた瞬間、演目"白い地獄"の最終幕が始まった……




☆☆☆




それぞれの方法、あるいはそれぞれの得意分野や戦い方で、国家に許された破壊と殺戮……戦争という"大義名分"の元に、赤軍の兵を士官を将官を殺し続けた三人は、こうして遠きスオミの地で出会った。


それが如何なる意味を持つのか?


その答えは、これから数えきれないほど量産されるだろう、"戦場"という人造の【ラグナレクとヴァルハラの境界線】だけが知っているのかもしれない……









*********




そして時間軸は"今"、場所はプラハ事業団基地の士官食堂へと戻る。


「ほう、【フェンリル】少尉は中尉に出世したか……」


(まあ、あやつの実力を考えれば、俺と同じ階級……いや、それ以上でもおかしくないのだがな)


事実そうだった。

冬戦争の期間中の多くの実戦経験の元に、戦争後に長短含む50を超えるレポートがクナイセンの手により提出されていた。


例えば前述の【前線航空統制官/前線砲撃統制官】育成マニュアルの草案から始まり、数々の対戦車/対デサント兵トラップや陣形の改良案や類型の提示、更にはさほど数は多くないが【対機甲防衛戦に有効/有益な新兵器アイデア】等も含まれていたのだ。




☆☆☆




クナイセンの兵器アイデアが優れているのは、実際に形にした際の誰にも分かりやすいコンセプト、つまり"実用性"もさることながら……その前段階の制作のしやすさ、極めて高い"実現性"が挙げられる。


というのもクナイセンは既存の、あるいは試作投入されてる物を叩き台にした【発展/改良/変更/転用/併用/利用】に高いセンスを持っていたからだ。

平たく言えば、


【今手元にある、あるいは近々手に入る代物を可能な限り有効利用しようとする】


センスが極めて優れていたのだ。


その辺りは、確かに浪漫には溢れてるが、実用性という言葉を何処かに置き忘れたような奇想天外(あるいは荒唐無稽)のトンデモ兵器を好んだ史実のヒトラーやポルシェ博士とは好対称……いや、対極にあると言って良かった。




だから、クナイセンの考えた兵器に限らず用兵やその他は得てして【面白くない】、ただし即戦力として【使える】物が多い。

中には、使えるがかなり"えげつない"物もある。

例えば、


【毒ガスは開けた風通しの良い場所では暫定的効果しかなく、密閉空間の方が効率が良い。ならば、戦場でいかに敵を"密閉された状況"に追い込むかだが……】


等と戦場の惨さを赤裸々に晒すようなレポートは、間違っても国威発揚や戦意高揚の手段にならず、むしろ下手に発表したら敵に対抗手段を開発されるか逆用されるかのデメリットしかない。


であるが故に、【クナイセン・レポート(冬戦争版)】の大半は"軍機"のスタンプが押され、その研究や開発が命じられたセクションのみの人間しかしらない状態で、実用化が進められていた。


クナイセン自身にすら自分のレポートが各所で極秘裏により深く継続研究されてる事は報告されず、であるが故に彼への【レポートの対価としての出世】は見送られていた。


そう、カナリスを筆頭とする軍情報部の徹底した隠蔽工作により、クナイセン・レポートは【存在しない、あるいは軍上層部に握り潰され黙殺された】ように細工されていたのだ。


当のクナイセンにしてみれば、


『新人少尉の戦場覚え書き(フィールド・スケッチ)なんて、普通は黙殺されて当然だろうしな〜』


位にお気楽さだったようだが。

勿論そんな調子の彼には、グデーリアン以上の"雲の上"の間で、


『戦争を間近に控えた今、クナイセンの"真の戦力"を敵に気づかせてはならん。暫くは、冬戦争で少々戦功を立てた"一介の尉官"であるべきなのだ』


というコンセンサスが築かれた事を知るよしも無かった。




☆☆☆




「さて、今度はどんな"狩り場"を用意してくれるのやら」


ルーデルも軍に身を置く以上、クナイセンに関する情報の内々に事実上の箝口令が出た時点で、大体の事情は理解していた。


(赤色イワン共は、誘拐や暗殺を平気でやるからな……)


そんな相手を敵に回しては余計な危険は、避けるべきだ。


だが、それら特殊事情を差し引いてもクナイセンの戦術統制官としての腕前は、ルーデルから見ても十分に信用に価する物であった。




「ダンナダンナ、顔が笑ってんぜ?」


フィッケルの茶々にもルーデルはなに食わぬ顔で、


「ヘンリー(フィッケルの愛称)、クナイセンが出てきてるのに、期待するなという方が無理ではないか?」


「まっ、同意でさぁね♪ (やっこ)さんが出てくると、とにかく戦場が派手になりますからね〜」


「そして、その分我々の"戦場の取り分"も増えるという事だ」


ルーデルはそう、笑いと呼ぶには少々迫力の有り過ぎる表情を作るのだった。





次回へと続く






皆様、ご愛読ありがとうございましたm(__)m




なんか、始めてまともな戦闘シーンが出てきてような気がしますが(戦記物なのに……)、【フィンランド&プロイセン連合軍vsソビエト赤軍】は如何だったでしょうか?


32名を殺す為に押し寄せる15000人の赤軍に対し、クナイセンが張り巡らせた罠……


淡々と殲滅し、熱くもなく冷たくもなく、ただ勝利への道筋を刻んでいくクナイセンの"戦争スタイル"が、少しだけでも伝われば嬉しいです♪



さて、そろそろ時間軸は戻り陸戦ステージ……チェコとポーランドの国境に、クナイセンは再び何かを仕掛けようとしてるみたいですが、果たして?




正直、次のアップがいつになるかわかりませんが、また次回にて皆様にお会いできる事を祈りつつ(__)





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