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第16話:【ゲヒルンの魔女】


皆様、こんばんわ~♪


ちょっと今回は睡眠時間を限界まで削って一気書きした暮灘です(^^;




いや、実は今回のエピソード……今まで書いてきた【PPG正伝】の中で一番のお気に入りエピソードかもしれません(;^_^A




というのも、今回のエピソードの後半パートでようやく……


【トート博士らしいトート博士がかけたから!!】


です(爆)

いや~、活動報告ですっかり【きょぬーで愉快なお姉さん】が定着してきたトート博士ですが、間違いなくPPG世界で最高ランクの


【プロイセン希代の謀略家にして陰謀家】


という側面がようやく描けました(笑)




トート博士が主役である意味無双!!

また意外な史実キャラも登場するエピソード、お楽しみ頂ければメガッさ嬉しいッス☆








さてさて兵器を売り込むには、単にハードウェア的な商材を売り込めば事が済む……という訳ではない。


複雑化した近代兵器という物は、大物になればなるほど製造から運用に至るまで高度な技術が要求され、設備の設営から始まり管制/整備/操作スタッフのノウハウ、つまりソフトウェア面が重要になってくる。


逆に言えば、兵器を買った後に手探りで行うノウハウ構築/獲得の方が遥かに手間取る……


しかし、そんな業界(?)の常識に風穴を空けた人物がプロイセンにはいた。



『なら、武器と一緒に運用ノウハウもパッケージにして売っちゃいましょお〜♪ 例えば軍用機なら、人員養成から基地設営、実際に戦力化する迄のプランなんていかがですかぁ〜?』


こんな頭のネジが数本纏めて数本吹き飛んだ事を提唱する人物は、一人しかいない。

そう、ご存知《ラプンツェル・トート博士》だ(汗)

巨大な乳をゆさりと揺らしながら彼女は尚も、


『オマケに5〜15年ローン可能。金利手数料は、今なら全てプロイセン皇国政府持ちでぇ〜。お支払はプロイセン皇国連銀でお受けしますよぉ〜☆』


な〜んてどこぞの大手通販番組的な事を宣うた。




☆☆☆




当然、その直接的な目的(少なくとも旗印)はプロイセン兵器の輸出販促……


具体的には軍需産業の活性化やまたそれに必要とされる人員……つまりは、現役軍人の経費削減だ。




例えばこの【お手軽最新鋭機購入パッケージ・プラン(笑)】の場合は、買い手先に派遣する軍人達の給料は、売り手側の軍需企業持ちとなっている。


しかも、軍はちゃっかりと仲介手数料は取るし、また【特別任務】扱いになるために様々な手当て(例えば教官手当てや出張手当て)がつき、実質的なベースアップとなる為にかなり美味しいのだ。


企業もそれは必要経費として計上でき税金対策にもなるし、それに人件費は兵器の値段に転嫁すればいいだけの話だ。


確かにライバルに企業機密がダダ漏れになるかもしれない反面、企業側から技術教官として出向する技術者同士の交流が深まれば、共同開発のしやすい土壌が生まれるメリットがあった。


ビヤホールか居酒屋かの場所の違いだけで、"飲みにケーション(笑)"がサラリーマンの社交場である事は、古今東西変わらない。




☆☆☆




では、買い手側とすれば?


実は彼らが気分的には一番美味しいかもしれない。


確かに兵器の単価は安くはないが、それこそ基地(飛行場)の設営から整備員/管制官/パイロットの養成まで全てパッケージに含まれてるので、自分達だけで同じノウハウを得るより桁違いに手っ取り早く、しかもトータルに考えれば(無駄金が無い分)かなり安価にあがるのだ。




しかも、トート博士のアメリカナイズされた合理主義には何の妥協も手抜きも無かった。


海外に売り込みを掛けたい企業に、


『一社一社が売り込みしたら、デモンストレーション一つとっても効率悪いですよぉ〜』


と言い出し、同じ業種同士の軍需企業間での同盟、


【軍事事業団】


を組むことを養成したのだから尚更である。




☆☆☆




その為に様々な軍事事業団が生まれたが、とりあえずこれから語られる事業団の代表格、


【プロイセン軍事航空事業団】


について少し語っておこう。

そのコンセプトはストレートで、


【最新鋭の軍用機を運用ノウハウごと最速&最安値、オマケにノーリスクで入手可能】


と分かりやすい物だった。

マーケット的な魅力は十分。

財政的には厳しい国が多く、物騒な欧州で売れない方がどうかしてる。


実際、最初の顧客はスロバキアだったが、冬戦争直後の40年に試験的に導入されたが、僅か1年足らずの時間で驚くほど精強な航空部隊がいくつも生まれていた。




☆☆☆




もっともこれは、パッケージの質の良さやその都度見直されるカリキュラムの正しさ……アメリカの組織工学を見習い、【少数精鋭の凄腕ではなく、ともかく戦闘機パイロットと呼べる人材の大量養成を重視する】というスタンスの良さもある。


凄腕やエースというのは確率論の問題で、確率が上がらなくても分母が増えれば数は増えるし、また見所のある教官/隊長候補生には、設備や人材がより整った【プロイセン皇国軍での教官研修】なんてご丁寧なオプショナル・パッケージまで用意されていたのだ。




☆☆☆




勿論、それだけではない。


ソフトウェア……人材面でも凄まじく、例えば売り手各国に軍事航空事業団と共に行動するプロイセン皇国軍のセクション、


【統合航空顧問教導隊】


の元締め……【統合航空顧問教導団司令部】の総司令官は、なんと!


《ヘルマン・ヴィルヘルム・ゲーリング》上級大将


御大その人であった。




史実でのゲーリングは派手好きな享楽主義者(ただし女性関係はクリーン)と人格には様々な問題があれど、こと


【驚くほど短期間でドイツに一流の"戦術空軍"を誕生させた】


という側面においては、抜群の才覚を発揮したと言っていい。


現在のプロイセンは史実のナチス・ドイツと違いアメリカの強い影響下にあり、空軍(ルフトバッフェ)もまた先頃【皇国軍最高総司令部(OKR)】の作戦本部長に就任した前任の空軍司令部(OKL)司令官ヴァルター・ヴェーファーの時代に【ウラル爆撃機計画(プロイエクト・ウラル・ボムバー)】を皮切りに、プロイセンの工業力では生産数が覚束無いのでわざわざ【B-24"リベレーター"】の配備で余剰となった【B-17"フライング・フォートレス"】200機を一括購入し数を補う等し、"戦略空軍"すら持つ【汎用空軍】へと脱皮しようとしていた。




その為に正直、ゲーリングの手に余る物になっていたのだが……

しかしながら、プロイセンが輸出カタログに掲載してる機体は基本的に"戦術航空機"ばかりで、また買い手国も望むのも先ずは建軍しやすい戦術空軍なので、ゲーリングの本領を発揮できる役職だった。




PPG世界でのゲーリングも確かに派手好きで享楽的だが、それは逆に言えば彼が上流階級出身だからであり、そうであるからこそ話を付ける必要のある他国の上流階級(パワー・エリート)との交渉やら折り合いもやり易かったのだ。


また持ち前の能力に加え、彼が先の世界大戦の【リヒトホーフェン・エアサーカス】の終戦まで勤めた最後の隊長であり、またプロイセンを代表する世界大戦のエース・パイロットの一人だった事も巨大なネームバリューを発揮したようだ。











**********




しかし、それにしても妙な違和感がある。


史実と比べても段違いに国力も経済力もあるプロイセンが、経済政策を確かに軽んじる訳はないが……


だがトート博士ともあろう者が、果たして金の為だけにここまでするだろうか?




答えは断じて"否"だ。


では、彼女の真意を見る為に同じくシンクタンク【ゲヒルン】のメンバー、盟友であり親友でもある才媛……若きプロイセン連邦銀行(FRBプロイセン)総裁ベアトリス・シャハトとベルリン某所で交わされた会話を抜粋してみよう。


『ラプンツェル、連銀としては国内産業の活性化にも繋がるし、基本的にプロイセン政府が立て替えるというなら、リスクはないが……だが、良いのか? 売り先から直接取り立てるのは政府だ。回収できなければ、みすみす"焦げ付き"を出すような物だぞ?』


シャープな印象の長身な銀髪美人、ベアトリスが見た目を裏切らぬ涼しげな声で言うと、


『うふふ♪ ベアトリスさんは、心配性ですね〜☆』


答える翠の長い髪を後ろで三つ編みに縛って垂らし、大きなメガネに前をはだけた白衣。

更には誇らしげに聳える巨大な双丘♪


ご存知ラプンツェル・トート博士だ。


『別に焦げ付いてもいいんですよ〜。今のプロイセンの経済力は、小国の軍自費程度の損失では揺るぎもしませんし……それに貸付は帳簿上の物以上にはなりませんからぁ〜』


楽しげに語るトートにシャハトは不思議そうな顔をして、


『ラプンツェル……お前は何を考えてる?』


『別に代金は、いつ紙屑になるか分からない現金で払って貰う必要はないってことですよぉ〜☆』


『……金塊か?』


有事の際、一番価値が安定し値上がりしやすいのは貴金属なのだが、


『大きな意味では金も含みますけどぉ〜……別に貴金属だけじゃないですよぉ? 銅に石油なんか戦略物資を初めとしたあらゆる地下資源に穀物も、なんだったら労働力の供出でも構いません♪ 要するにお金に換算できる物だったら、プロイセン政府はどんな支払い方法も受け付けますよぉ〜☆』


『バカな!? いくらなんでも、アバウト過ぎだ!』


優れた銀行家であり経営者であり経済学者のシャハトに言わせれば確かにその通りだろう。


だが、基本的に【戦争と経済に精通した"陰謀家"】であるトートは全く別の視点を持っていたのだ。




『ベアトリスさん、わたしが提示した商業モデルは、あくまで文字通りの"見せ金"……』


うっすらと……酷薄とも呼べる薄い笑みを浮かべるトートは、


『プロイセンが"アメリカの飼い犬"となり、お金儲けしか興味のない【金権腐敗に堕落した帝国】と周辺諸国に思い込ませ、"真の目的"から目をそらさせる為の手段……』


トートはクスクスクス♪と無邪気に笑い、


『言ってしまえば"軍事事業団"計画その物が【国家ぐるみのダミーカンパニー】、至上最大の"大ペテン"なんですぅ♪』




☆☆☆




『勿論、ダミーカンパニーとはいえ、きっちりボロ儲けはしちゃいますけどねぇ〜♪』


少女のように無垢な笑みのトート……


だが、対してシャハトはまるで地雷原の中に踏み込むようなゾワリとした感覚を味わいながら……


『ラプンツェル……"真の目的"とは、なんだ?』


『買い手諸国に大量の【ライヒス・マルク(プロイセン通貨)借款】……マルクの借金を持たせることですよぉ〜♪』


『なにっ!?』


驚くシャハトを尻目にトートは明日の天気でも語るような調子で、


『そして、そのマルク立ての借金をカタに、買い手国の経済中枢に【プロイセン経済の鎖】を繋ぐ為の"ハーケン"を打ち込むんですよぉ♪ 輸入にせよライセンス生産にせよ、膨大な利権が動きますからぁ……その時がハンターチャンスですぅ☆』




『お前、まさか……国家規模で根刮ぎ【M&A(組織買収)】でもやろうと言うのか……?』


シャハトに答える代わりに、トートは親友の明晰な頭脳に惚れ直したかのように優しく笑み、


『軍事に絞ったのは、お察しの通り"保険"ですよぉ〜♪ プロイセン人の教官から兵器の扱いから軍隊のなんたるかを習い、エリートはプロイセンの短期士官養成コースにご招待〜☆ オマケに使う武器はプロイセン製……』


おどけて言っているが内容は余りに辛辣であり……


『果たしてこの状況で、プロイセンに逆らえる買い手他国の軍人さんは、何人いるでしょうねぇ〜? プロイセンを敵に回せば軍隊その物がたち行かなくなると誰よりも知ってるのは、軍人さんでしょうけどぉ☆』


悪戯がバレた子供のようにペロッと舌を出すトートだったが……


だが、シャハトの顔に笑みはなく、ただ背筋に流れる冷たい感覚が気持ち悪かった……




☆☆☆




『経済的な中枢と軍事的な中枢を握るか……これぞ本当の"国盗り"だな』


唖然とした声のシャハトだったが……


『それだけ握っていれば、例えプロイセンに都合の悪い政府が立ったとしても、既得権益を失いたくない経済家さんと軍人さんが直ぐに自発的に動いて、"自浄作用"が働くでしょうしぃ〜♪』


ラプンツェル・トート博士は、


『戦争で失うのはお金だけじゃあ、ありませんから……ならば、そんな下策は話が通じない野蛮人に使うだけで十分ですよぉ』


心の底から愉快そうに……


『表面的な経済リスクだけで戦争以上の効果が得られると分かっていながら、躊躇う理由なんてありませんよねぇ〜。ね? ベアトリスさん♪』




『ラプンツェル……今の私には、お前が魔王に見えるよ』


『いえいえ、わたしは【ゲヒルン】を根城にする、ただの悪ぅ〜い"魔女"ですよぉ〜♪』







次回へと続く



皆様、ご愛読ありがとうございましたm(__)m


トート博士の悪巧み描く楽しさと睡眠不足と相俟って、ハイテンションで一気書きした暮灘です(^^;




トート博士無双(笑)は如何だったでしょうか?(;^_^A


作者としてはこのお方の陰謀&策謀は、書いてて楽しい楽しい(笑)




そして、こんな場所で登場のヘルマン・ゲーリング御大f^_^;


実は色々と伏線がちりばめられてますが、果たしてそれが生きるまでエピソードが続けられるといいなぁ~と(汗)




今回、少々無茶した為に次回のアップは大幅に未定ですが、また皆様にお会いできる事を祈りつつ(__)





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