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第15話:【カスタムメイド? いや、メイド(狙撃仕様カスタム)だ】


皆様、おはようございま~す♪


最近、時間配分がめちゃくちゃな暮灘です(^^;




さてさて、今回のエピソードは……


前半パートは、ちょいと今までに見せなかったクナイセン&レニの一側面を披露です♪


後半パートは、間接的にですが、【ゲヒルンのきょぬー魔女(笑)】の再登場?


相変わらず愉快な悪巧みキャラですが、今回は少し芸風が変わってます(^^;




またまた史実では有り得ない、そして変な所で史実と一致するエピソード、楽しんで頂ければ幸いッス☆








クナイセン達第2小隊が政治的理由によりチェコに入ると、輸送列車は足止めを食らった。


当初は主に予算的あるいは技術的に不十分なチェコの鉄道網の問題かと思われたが……




「中々面白い叫びを上げているじゃないか?」


だが、必ずしもそうではなかった。


止まった列車に乗る、時間が無かった為に隠蔽する時間がなく、簡単なシートを被されただけの【見たこともない巨大な戦車】を一目見ようと押し掛けてきたチェコの民衆……


しかしその群衆に紛れて、


「クラウトは帰れっ!!」


反プロイセンのシュプレヒ・コールを上げる不穏な人影の群れ……


クナイセンがその中の一人に近づき、ベルトに隠し挟んでいた"エモノ"を掠め取ってみると……


「コイツは【トカレフTT-33】って拳銃でね……名前の通り1933年に"ソビエト赤軍"が正式化した【軍用拳銃】なのさ」




☆☆☆




出てきたの【トカレフTT-33自動拳銃】は、紛れもなく1933年に正式化されたソ連軍の軍用拳銃であり、今のところ公式に輸出はされておらず少なくとも民間銃器市場には出回ってない代物だった。


「当然、市販はされてない。手に入れるとすれば、赤軍兵士諸兄が横流ししたトカレフをブラック・マーケットで手に入れるか……」


兵士の命懸けの横流しか、あるいは……


「あるいは、君がソビエト赤軍の関係者でしか有り得ないんだけどな?」


血塗れの闘争の為に"身内"が欲しいソ連は、他国の"革命闘士"には気前がいい。


「さて、"君達"はどちらだろうね?」




☆☆☆




「まあ、いずれにせよ……」


クナイセンはトカレフをガンスピンさせながら、


「中々愉快な"お伽噺"が聞けそうだ」


そう笑いながら、


「軍曹、コイツを連れていって尋問しろ」


「はっ?」


普段と余りに違うクナイセンの様子に、戸惑う憲兵軍曹は言葉の意味が解らぬように聞き返すが、


「ヲイヲイ。まさか【正規の軍隊の前に軍人でもないのに武装して立つ意味】がわからない訳じゃ無いだろ?」


「あっ、はい!」


どうやら命令の意味を理解したらしい軍曹が拳銃男の身柄を拘束しようとするが、その死角で別の男が懐に手を滑り込ませる!


しかしクナイセンはひどく落ち着いた声で……


「レニ」


"タアァァァ―――ン!!"


"ぱぁん!"


拳銃とは比べ物にならない長く大きな銃声と同時に、懐に手を潜り込ませたまま頭部を破裂させ、数瞬前まで"人間だった物"が朽ち木が倒れるように崩れ墜ちた……


「正規軍人に民間人が銃を向ければ、その時点で疑いようもない"テロリスト"だ……」


崩れ際にこぼれた、同じトカレフ拳銃を空いた左手で拾い上げながら、


「テロリストには、ハーグ条約もミランダ法も適応されないって知ってるかな?」









**********




「一つだけ先に言っておく……」


クナイセンは片手に1丁ずつガンスピンさせていたトカレフをピタッと止めると、


「俺達の最優先事項は、ボヘミアンの守護じゃない……共産主義者並びに赤軍相手の戦争だ」


そして周囲を見回し、


「ボヘミアン(チェコ人)だろうがポッチギー(ポーランド人)だろうがイワン(ロシア人の俗称)だろうが、無論プルシアン(プロイセン人)とて赤い看板背負って俺達の前に立つのなら、何時でも何処でも誰でも迷わず討つ……」


クックックッと喉の奥で小さく笑い、


「さっさと出てこい。お望みとあらば、ここで戦争を始めようじゃないか? 今すぐに」




☆☆☆




ここでクナイセンがジョン・ウーばりのトカレフ2丁拳銃ガンアクションでもあればキマるのだろうが、生憎と彼は親が成金で地位を買っただけとはいえユンカー(下級貴族)なのだ。


家柄は正しくないが貴族である以上、極力自分の手は汚さない。


そういう意味では法的実権を失っているとはいえ、貴族という地位と【面倒臭がりで怠け者】というクナイセンの本質のマッチングは極めて良好だった。




「では軍曹、先程の命令を実行したまえ」


そう後ろを振り向いた途端に、背後に何かが動く気配……


しかし、クナイセンが何かを命じるよりも速く、


"タァァァ―――ン!!"


再びレニ愛用の半自動狙撃小銃【G41GA】の銃声が響いた……


そして、銃声とのタイムラグ無しにまた一つ頭が弾けたのだった。


「ああ、そうそう」


クナイセンは何かを思い出すように、


「うちの"メイド"は、過去にボリシュビキと色々あってな……アカとその派生型に対しては、妙に鼻が効く上に目がいい」


レニに言わせれば、


『赤色が近づくと、ボクの壊された子宮が懐かしい痛みに疼くんだよ♪』


らしい。


「動くつもりなら、それなりに覚悟しておけ。何しろレニの師匠は……」


『スオミの深き雪の森に住む"白い魔王"だからな……』と呟きくと、クナイセンは何事も無かったかのように列車へと戻るのだった。




☆☆☆




結局、これより列車が動き出す迄は何も無かった。


所詮、俄作りの共産工作員ということなのだろう。

たった2発の狙撃であっさり行動が封じられ、もはやシュプレヒ・コールを上げる余裕すら無かった。


つまるところ最初にクナイセンに拳銃を奪われ、"同志"二人の頭が吹き飛ぶのを見て尻餅をつき、怯えきった男が憲兵に連行されるのを見殺しにしたのだ。




無論、クナイセンは銃で脅して"無害な民衆"を蹴散らすような真似はしていない。


『別に見るだけなら無理に止めるような野暮はしないさ』


というのが、クナイセンのスタンスだった。

余談ながら……


「クナイセン中尉、その……群衆の中から他にも武装した者を炙り出し、摘発いたしますか?」


未だ普段とあまりに違うクナイセンに戸惑いが止まらない憲兵軍曹が問うと、クナイセンは不思議そうな顔をすると、


「軍曹、君は我々の小隊の警備以外にもチェコ内に潜伏する【共産テロリストの討伐任務】の別命でも受けてるのかね?」


「いえ、そのような命令は受けてませんが……」


するとクナイセンは小さく頷き、


「結構だ。軍曹、君達憲兵隊は与えられた職務に全力を注ぐべきだと思うんだが?」




キンベル・クナイセンという人物は、その生涯……特に軍人であった時代はひどく評価が難しい人物であるが、賛同者も反対者も好きも嫌いも、どんなに人格を叩こうが非道を貶そうが、不思議と『無能』という評価だけは受けた事が無かった。


そう、この場合で言うなら……彼は自分が"虎"を駆り戦うべきは間違っても赤色民兵風情ではなく、大地を響かせながら押し寄せるだろう赤軍装甲兵団だと心得ていたのだった。










**********




さてさて、所は変わりチェコの首都【プラハ】郊外。


歴史ある街並みに程近い中々のロケーションに、一風変わった航空基地があった。


まあ、防備は有刺鉄線で組まれた鉄条網や機関銃が据え付けられた監視塔に地雷原と見るからに軍事基地だが……



その基地の何が変わってるかと言えば、先ずはその掲げられた真鍮製の看板に刻まれた文字だ。

曰く、


【プロイセン軍事航空事業団 "統合航空顧問教導隊"】




……何となく正体が分かると思うが、要するに【プロイセン製軍用機売り込み隊(笑)】の根城だ。




☆☆☆




流石に胴元アメリカ合衆国ほどの規模ではないが、プロイセンにも軍需産業複合体は存在する。


彼らが扱う商品と言えば、言うまでもなく兵器なのだが、今も昔もそれはかなり"特殊な商材"だ。


別に人殺しの道具だから特殊、というだけではない。


特に近代以降はその傾向が強いのだが……


兵器というのは大型になればなるほど、言い方を変えれば威力が上がれば上がるほど、その取り扱いや操作は面倒になるのだ。




☆☆☆




例えば、小銃(ライフル)と戦闘機を比べてみよう。


どちらも金属で出来てる立派な兵器だが、細かい取り扱いや使いこなすのはまた別の話にしても、小銃の場合は、


【弾を装填して敵に狙いを付けて引き金を引け】


で、とりあえず兵器としては機能する。


極論すれば、昨日まで(くわ)しか使った事ないような農夫が朝飯を食べた後に訓練受けたとしても、昼飯前には撃てるようにはなる物だ。




☆☆☆




だが、当然のように戦闘機はそうもいかず、その程度の時間だけ訓練したのでは墜落すらしない。


何故なら墜落するには先ず飛ばねばならず、飛ばせたなら理論上は逆の手順で降りれる筈だ。


実際にはそこまで単純でないにせよ、戦闘機というのは飛ばす迄に手間のかかる物であり、また飛んだだけでは"兵器"としては機能しない。


飛ぶだけなら、別に武装のない"ただの飛行機"で十分だ。


細かい理屈は抜きにしても、ともかく【自分の武装で敵を空中戦で撃墜してナンボ】なのが戦闘機なのだから。




勿論、別の視点も言える。


小銃を【兵器としての機能を維持させる労力】は、原則として持ち主一人のメンテで事足りるが、戦闘機となればそうはいかない。


メンテ専門の整備員は要るし、それ以外にも管制官を始め戦闘機を飛ばしてバトらせる為には多くの【地上要員(グランド・スタッフ)】が必要なのだ。


逆に言えば、戦闘機をまともに戦力として使おうと思えば、パイロットという【戦闘員】以外にそれだけの直接的に戦闘には関わらない【非戦闘員】を、軍は戦力として育てないとならない。




☆☆☆




かくも近代軍とは面倒な物なのだ。


兵器だけを作っても軍は成立しない。

ソフトウェア……それを広義な意味で"扱う"人員まで含め、初めて兵器として成立するのだ。


そして、その建軍し実際に運用するノウハウの構築することこそが試行錯誤の連続……一番、時間も手間も予算もかかるのであるが、


『なら、武器と一緒に運用ノウハウもパッケージにして売っちゃいましょお〜♪ 例えば軍用機なら、人員養成から基地設営、実際に戦力化する迄のプランなんていかがですかぁ〜?』




こんな頭のネジが数本纏めて数本吹き飛んだ事を提唱する人物は、一人しかいない。


そう、ご存知《ラプンツェル・トート博士》だ(汗)

巨大な乳をゆさりと揺らしながら尚も、


『オマケに5〜15年ローン可能。金利手数料は、今なら全てプロイセン皇国政府持ちでぇ〜。お支払はプロイセン皇国連銀でお受けしますよぉ〜☆』


何というか……「お前は一体、どこの"ジャパ○ットたか○"だっ!!?」と思わずツッコミたくなること請け合いな事を言い出すトート博士であった。




☆☆☆




それにしても……

こと悪巧みに関して並々ならぬ定評と拘りのあるプロイセン皇国帝立シンクタンク【ゲヒルン(頭脳)】の誇る女ジョーカー、色んな意味で《最凶のきょぬー魔女》ことトート博士が、ただの善意でこのような真似をする筈はない。

そんな事をすれば魔女の二つ名が地に落ちるだろう。




『一つはぁ〜、軍人さん達のお給料絡みですよぉ〜♪』


【お手軽軍用機購入パッケージ・プラン(仮称)】を例に挙げると、支払いに関しては政府と連銀で肩代わりするが、実際に儲けるのは航空系の軍需産業だ。


しかし、企業には開発ノウハウはあっても実際に現場での運用ノウハウを持ってるのは、公務員たるプロイセン皇国軍……

ならば、期間契約で軍より借り受ける【パッケージ・プランで必要とされる軍人達】の給料は、軍需産業複合体の中で他国に兵器を売り込みたい企業でその都度編成される


【プロイセン軍需航空事業団】


から支払われるべきとトート博士は定めた。


企業としても、その人件費は兵器の販売価格に上乗せすれば良いのだから問題ない。


軍は人件費を抑制できるし、企業は現場の状況をダイレクトに把握できるのだから、まさに望むところだろう。


しかし、トート博士にとっては……


『とまあ、それは表向きの理由ですねぇ〜♪』




確かに彼女にしては動機が真っ当過ぎる。


当然、裏があると考えるべきだろう。


果たして、トート博士の真意とは……?






次回へと続く






皆様、ご愛読ありがとうございましたm(__)m




ちょいとシリアス・パートなクナイセン&レニは如何だったでしょうか?(^^;


何気に"冬戦争"の経験で、陸戦が得意な二人だったりします(笑)


そして後半はラプンツェル・トート博士の再登場♪


相変わらず悪巧みが大好きなお茶目なお方ですが、今回はジャパネ○ト風に暗躍しとります(;^_^A


だけど、それはあくまで表向き……果たして、彼女の真意とは?




色々と伏線張ってますが、果たしていつまで書き続けられるのかなぁ~(汗)


それでは、また次回にて皆様にお会いできる事を祈りつつ(__)





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