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第14話:【ボヘミア式歓待法か? 楽しませてくれる】


皆様、こんばんは~♪


いつも気分はローぺリオン(?)、執筆時間が分割じゃなくて一括で欲しい暮灘です(^^;




さてさて、今回のエピソードは……


前半はリッベントロップ&ハーハの平均年齢高めのギグで、後半は何となく主人公の筈なのに出番が少なめなクナイセン再びです(^^;


というかクナイセン、主人公なのに仕事サボりがちな気が……(笑)


というかプロイセンはサブキャラ軍団の方が確実に良かれ悪かれ働き者な気がします(;^_^A




それはともかくクナイセン、珍しく前線戦闘将校っぽい動きをしたようなしないような?


とりあえず、微かに戰の香りのするエピソード、お楽しみ頂ければ嬉しいッスよ~☆








「チェコ国民の総意に相違ありません」


チェコの首都【プラハ】の大統領官邸で、そう苦渋に満ちた口調で告げる大統領エミル・ハーハに、プロイセン皇国外交特使ヨアヒム・フォン・リッベントロップは従者に書類を出すように目で促した。


「誤解して頂きたくないのは、我々プロイセンは貴殿方の住まう土地には全く興味が無いということです。では何故、プロイセン人の血税で養われたプロイセン皇国軍をこの地に派遣するのか……その意味はお分かりですね?」


相手が理解してないわけでも、相互認識を確認してる訳でもない。


様式と儀礼……突き詰めればそういう事だ。


そもそも事前合意ができて無ければ、わざわざリッベントロップ……プロイセン外務省の若手ナンバー1で、将来の外相最有力候補がわざわざプラハになど来る意味はない。


「重々に。あくまでもプロイセンの国防に有益なればこそ」


「結構」


ハーハの認識が今更ブレてない事に満足したリッベントロップは、満足げに頷き……


「ポーランドは誰が想像するより早く陥落するでしょう。あれほど内部に"裏切者"……スターリンに迎合する売国奴が赤軍を招きこめけば、それもまた当然」


実際にそうであった。

ポーランド軍の瓦解は現実にあちこちで起きており、ソ連の圧倒的な軍事力のみで説明の付かない事態が、随所で発生していた。


「ハンガリーとルーマニア、あるいはブルガリアも場合によってはソ連の侵攻に対して無防備宣言し、自ら赤軍を招き入れる可能性がある……」


別に脅しではない。


現実に戦わない見返りに制圧した国の領土を割譲……となれば、有り得ない話じゃなかった。


いや、もし仮に今でもソ連の工作員疑惑が付きまとう《オズヴァルト・ベネシュ》が大統領として"チェコスロバキア"を掌握してれば、十分になっていただろう話だ。


少なくとも圧倒的な物量を誇る敵軍相手に勝ち目のない戦いを仕掛けるよりは、遥かに受ける被害は少ないだろうし、政治家として考えるなら相応に魅力的なプランだった。




「我々は場合によっては、ソビエトだけでなく欧州東部全ての諸国相手に戦争せねばならないかもしれません」


最悪の予想ではあったが、余りにも現実味が有りすぎた。


「更にチェコには地下に潜伏してるとはいえ、同じくスターリンから伸びる糸が付いた者がいる」


前述のベネシュの事だろうと踏んだハーハは静かに頷く。


「我々はかような困難な情況の中で戦わねばならない。外交官としては失格の台詞だが……」


リッベントロップはそう前置きしてから、


「寧ろ速やかに赤軍の軍門に下った方が楽やも知れませんぞ?」




☆☆☆




だが、ハーハは迷いなく


「是非も有りませんな。共産主義者に国を明け渡すくらいであれば……」


「重畳ですな」


リッベントロップはそう告げると、やや芝居ががった手つきで従者より受け取った一枚の書類を置き、


「貴殿の名誉において署名を」


リッベントロップに促され、ハーハは署名欄にペンで自らの名を記す。


同じ書類の上の署名欄には既に《ハインリヒ・ブリューニング》と記入してあった。


言うまでもなくプロイセン皇国大統領の名だ。




インクが乾くのを待ってから、リッベントロップは


「略式ではありますが……」


書類に不備が無いことを確認してこう告げた。


「これでチェコ共和国は、この時点この瞬間より我が祖国プロイセン皇国の正式な"保護国"となりました」










**********




戦争は、様々な要素が絡み合う。


一つ一つが単純でも、それが絡み時には解れ合う事により巻き起こる事象は、より難解な物になるのだった。




さて、チェコがめでたく(?)プロイセンの保護国となったたっぷり半日後……


「さて、どうしたもんかな……」


そう苦笑気味に呟くのは我らが主人公(?)、《キンベル・クナイセン》であった。


この当時のチェコの鉄道網は、主に経済的な理由でお世辞にも万全に整備されてるとは言いかねる情況だった。


また、一応レールは欧州標準軌規格で作られているが、線路や枕木の強度が今一つで、安全の為に中隊ではなく小隊……つまり、護衛の憲兵隊を付けた戦車5〜7両とその搭乗兵員ごとの移動を余儀無くされていた。




それでも第1戦車大隊第2中隊を乗せた軍用輸送列車群は見事に立ち往生。


なるべく人目につかないルートで、チェコ/ポーランドとの国境線まで行きたかったが、どうやらそうもいかないらしい。


悪い事にクナイセン達を乗せた列車が止まった場所の近くに街があったらしく、


【誰も見たこともないような巨大な戦車】


を一目見ようと見物人達が押し掛けてきた。




☆☆☆




「"ティーガー"は見世物じゃないんだけどなぁ〜」


砲塔を椅子がわりに腰掛けるクナイセンは思わず呟くが、


「しょうがないんじゃない? "虎"は何処の動物園でも人気者だしね♪」


暢気な台詞を言うのは砲手用キューポラからひょっこり顔を出してるレニだった。


「ヲイヲイ……流石に動物園じゃ、中の人(笑)は見世物にゃならんだろ?」


「僕、たいちょおとなら見世物になっても……むしろ見世物になりたいって言うか……」


何やらユニークな性癖をカミングアウトしながら物欲しそうにジィ〜ッとクナイセンを見るアレクだったが、クナイセンは軽く頭を撫でて、


「まあ、アレクが望むならそうしてやりたいのはやまやまだが……」


見物人を押し止めてる憲兵を見やり、


「一応は軍事機密を守ろうと、短機関銃片手に奮闘してる憲兵隊紳士諸兄の仕事を、これ以上増やすのは忍びないからなぁ〜」


少し語尾を間延びさせながらクナイセンは、


「時にレニ……何人くらい潜り込んでると思う?」


「……少なからずいるね。列車止めてるのも、破壊工作の可能性は否定できないよ?」


「ヤレヤレ……」


レニの頭を優しく撫でた後に今度はアレクの耳 を


"かりっ"


「あんっ♪」


その甘噛みの心地良さに思わずブルッと小さく身を震わせるアレク。


トロンと蕩けて光が消える瞳に構わず、クナイセンは耳元で……


「アレク、小隊全員に民間人を刺激しないよう然り気無く乗車命令。タイクゼン大尉(中隊長)にも可能な限り中隊全員に乗車するようクナイセンが具申してると無線で伝えてくれ」


「ひゃい☆」


言われるままに頷いて姿を消すアレクを確かめてから、


「ご主人様、そろそろ仕掛けてくる?」


「せっかく強力な戦力が分散してる上に、今は無防備な輸送中ときてる……俺だったら、間違いなくこのタイミングで殺るさ」


クナイセンがニヤリッと笑いながらそう言った途端、


「【クラウト(プロイセン人の俗称)】は帰れっ!!」


戦車見物の群衆から、そんな叫びが上がったのだった。









**********




「クラウトは帰れっ!!」


「ズデーテンを盗んだクラウトなんか信じられるかっ!!」


「チェコは我々の国だ!!」


「ボヘミアは我らボヘミアンが守る!!」


「クラウトの手は借りねぇっ!!」




群衆から次々と上がるシュプレヒ・コール……


しかしクナイセンは、


(ふ〜ん、そっちの手で来たか……)


冷静に状況を分析していた。


(殆どの民衆は、本当に物見遊山でティーガーを見にきただけだろう……だが、)


ゆっくりと頭数を確かめるように周囲を見回し、


(信号機でも操作したか? いずれにせよ足止めして、俺達がここにいる情報を流したのは……)


そして、無害な民衆に紛れてシュプレヒ・コールを上げてる一団を見やり、


(この一味だろうな……しかし、搦め手でくるって事は、)


「まともな対戦車装備は用意できずってとこか?……よし」


クナイセンは結論に至ると、ティーガーの砲塔から地面へと降り立った。




☆☆☆




「貴様らっ!!」


屈辱的なシュプレヒ・コールに怒気を上昇させ、今にも【MP28短機関銃】の銃口を民衆に向けそうな憲兵隊だったが……


「まあまあ憲兵諸君、"民間人"相手にいきり立ってどうすんの?」


「誰だっ!? って……うげげっ!! クナイセン中尉っ!?」


軍曹の階級章を付けた憲兵が思わず固まりそうになるのを無理矢理体を動かし敬礼の動作に持って行く。


まさに軍隊教練の賜物だが、軍曹の上官侮辱ギリギリの行動も無理は無かった。




クナイセンと言えば、憲兵隊の中では悪い意味で有名人だった。


曰く【第18機甲擲弾兵師団で性的な意味で最も風紀と規律が乱れた部隊】のカシラで、おまけに【風紀と規律を率先して乱してるのは小隊の隊長と副隊長】なのだから、当然のように


【憲兵隊泣かせの変態ユンカー】


としてあまりに名が売れていた。




そのクナイセンが幼女……とは"なんちゃってペド(笑)"のレニがいる以上断言できないが、とにかく見た目幼くちみっこい女の子以外の案件で首を突っ込んでくるのだから、軍曹が驚くのは無理もなかった。




☆☆☆




装甲中尉の階級章を付けた将校のいきなりの搭乗に驚いたのかシュプレヒ・コールは止まるが、当のクナイセンは大衆の後ろから非難の声を上げていたうちの一人……特徴のない男の前にツカツカと歩み出る。


「中々面白い叫びを上げていたじゃないか?」


クナイセンは寧ろ親しげに、


「それで、クラウトがどうしたって?」




「こ、ここはボヘミア人の土地だ! ズデーテン盗人のクラウトは、さっさとプロイセンへ帰れっ!!」


予想外の将校の搭乗に、一瞬機先の削がれるがそこはそれ、狂信的思想に取り憑かれてる人間は得てして怖いもの知らずだ。


つまるところ、彼らはクナイセンという人間をわかっていなかった。


「ほぉ〜……君達の言い分は理解した。ところで、」


クナイセンの腕が、周囲の空気を動かさないように微かに動いた!!


「なんだってこんな"物騒な代物"を服の下に隠してるんだい?」


誰にも気取られないよう動いたその手に握られていたのは、不恰好な鉄の塊……"拳銃"だった。




☆☆☆




「いかんなぁ〜。ズボンのベルトに挟んでシャツで上から隠すなんて、やり口がいくらなんでも素人過ぎるぞ? それじゃあ、『拳銃を隠し持ってます』って吹聴してるようなもんだ」


「なっなっなっ……!!」


穏やかな口調のクナイセンに対し、思い切り狼狽する群衆(?)Aだ。


というか、いつの間に掠め取られたのか全く見当もつかない。


「ついでに言えば、この拳銃は【トカレフTT-33】と言ってね……名前の通り1933年に"ソビエト赤軍"が正式化した【軍用拳銃】なのさ」


クナイセンは探るようではなく、なぶるような笑み混じりの視線で、


「当然、市販はされてない。手に入れるとすれば、赤軍兵士諸兄が横流ししたトカレフをブラック・マーケットで手に入れたか……あるいは、」


クナイセンはTT-33を弄びながら、


「君がソビエト赤軍の関係者でしか有り得ないんだけどな?」


まるで喜劇でも鑑賞するような様子で、


「さて、君達はどちらだろうね?」








次回へと続く






皆様、ご愛読ありがとうございましたm(__)m


政治劇の終わりとクナイセンが見せた珍しい"前線将校"としての顔は如何だったでしょうか?(^^;


次回くらいに詳しく出てくるとは思いますが……実はレニ、"過去の一件"以来、ボリシュビキとその派生型には妙に鼻が利きます。




実は今、まとまった執筆時間が取れなくて、行き帰り電車の待ち時間に昼食休み、帰宅後の諸々の時間を総動員して書いてますが、中々執筆が進みません(汗)


正直、次回のアップはどんなに早くても明後日、普通に金曜とかになりそうな気がしますが、お待ち願えたら幸いです(^^;



それでは、また次回にて皆様にお会いできる事を祈りつつ(__)





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