表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/24

第12話:【征き先の変更】


皆様、こんばんわ~♪


睡眠時間削って小説書いて、本日の予定こなして移動時間と電車の待ち時間を使って小説書いて、何とか仕上げた暮灘です(^^;




さてさて、今回のエピソードは……


序盤だけは前回の残り火ですが、中身は中々渋いです(笑)


というか史実のパロディ……と呼ぶには少々ハードというか、国家間関係ドロドロです(;^_^A


更に第二次大戦の欧州ステージに詳しい読書様には、聞き覚えのある名前が……(汗)




とりあえずクナイセンが割りといい味出してるエピソードですが、お楽しみ頂ければ幸いッス☆








スロバキア共和国

首都【ブラチスラヴァ】




長き旅路……というと大袈裟だが、現代日本人からするとウンザリするような時間の後に【第18機甲擲弾兵師団】が着いたのはスロバキアの首都【ブラチスラヴァ】、正確にはその郊外にある操車場だった。


だが、各部隊が着くなり出たのは待機命令。


いや勿論、足並みを揃える為に一度ここに師団を乗せた車両全てが着くのを待つのは予定だったのだが、目的地に着くなりいきなり各兵科の大隊長以上に緊急召集がかかるというのは、かなり異常だった。




待機命令が出る頃に目が虚ろで歩き方のおかしなレニとアレクを引き連れクナイセンが客車に姿を表した。


「あは♪……ぼくもたいちょおの……おもちゃあ……」


「おむひゅ……ごひゅりんひゃまに……あかひゃんみらいに、おむひゅひれもらっひゃったぁ♪」


アレクとレニが何やらブツブツ言ってた(レニに至ってはより重症なのか呂律が回ってなかった)が、あえてハッキネンとボルコフは聞こえないことにしたようだ。


クニスペルは「即時戦闘があるわけじゃないし、まあいいか」と苦笑していたが、この状況を苦笑で済ませるあたり、この漢もやはり生半可な胆力ではない。


というより、この隊長にしてこの部下ありと言った方が正しいか?(汗)




☆☆☆




さて、話が小隊長レベルまで降りてきたのは、正気を無くしていたレニとアレク瞳の焦点がようやく合ってきた頃だった。


口が半開きになってる状況でも復帰後でも、二人揃ってクナイセンの左右を固めるように粘着榴弾よろしく張り付いているのは変わらない。

まあ、淫夢モード(笑)だろうが正気モードだろうが、行動パターンがさして変わらないのがレニとアレクの特徴だろう。

それを目撃した伝令兵は、


「はいはい。クナイセンクナイセン。ワロスワロス」


と呟くと何事も無かったかのように中隊長のクリスティアン・タイクゼン大尉が召集をかけてる事を告げたのだった。









**********




「はぁ? このままチェコに行けです……か?」


珍しく素っ頓狂な声を挙げたのは、"品行方正なプロイセン軍人"を地でいく若手将校、第3小隊隊長の《オットー・カリウス》少尉だった。


「我々軍人は命令があればどことなりとも征きますが……しかし、それにしても」


カリウス少尉の困惑はもっともな事だった。


地理的/地政学/政治的な特性があるから致し方ないとはいえ、列車で短時間二国を跨いで進軍すること自体も世界的に見れば異例だが、"三国跨ぎ"とは前代未聞だろう。


「荷ほどきもせずにチェコへ向かえ、と……」


と腕を組むクナイセン。

それを面白そうに見ていたタイクゼンは、


「クナイセン中尉、何か気付いたかね?」


するとクナイセンは気の抜けたように……


「まぁ。大して面白くもないし、在り来たりの推論ですけどね……」


「構わんさ」


タイクゼンの促しにクナイセンはあまら気乗りしない様子で、


「なんのことをはない。チェコもスロバキアと同じく我らが祖国、偉大なりしプロイセン皇国の庇護下に入った……ぶっちゃけ、"保護国"になったってとこでしょ?」


「ほう……その根拠は?」


(この人は……本気で自分で説明すんの面倒なんだなぁ〜)


自分も同種の人間なので変に納得したクナイセンは自分達のロクでもない未来図を予想しながら、


「結論だけを先に言えば、現チェコ大統領エミル・ハーハ殿は親プロイセンの賢明な指導者ですから、【シレジア】と一緒に地位も名誉も失った《ルドルフ・ベラン》元大統領の二の轍は踏みたくない……まあ、そういうことでしょうね」









********




話はまだクナイセンがお楽しみ……もとい。第2中隊を運ぶ列車がオーストリア領内を旅してた頃に遡る。




チェコ共和国首都【プラハ】、大統領官邸


(心臓を患っていると聞いてるが……確かに顔色が悪いな)


国民から絶大な支持を受ける【ズデーテン地方の救世主】とか【スロバキア独立の原動力】と言われるプロイセン外務大臣コンスタンティン・フォン・ノイラートの外交特使としてチェコへ訪れた《ウルリヒ・フォン・リッベントロップ》は、


(この困難な時期に大統領になるとは、なんとも運の無い老人だ……)


目の前にいる大統領と呼ぶには余りに弱々しく憔悴しきった老体、《エミル・ハーハ》を同情と憐憫をこめた視線で見据えていた。




☆☆☆




同じ外交という場所に根を張るリッベントロップから見ても、少なくともスロバキアが分離した後のチェコは、世界有数の【政治混乱地】だった。


ズデーテン地方を巡る混乱とプロイセンへの併合は第8話【ズデーテン・ラプソディ】に詳しいが……


だが問題は大統領エドヴァルド・ベネシュが、ズデーテン地方のプロイセンへの割譲……外交的敗北により、取り巻き共々引責辞任した後の方がよりひどかった。




史実のベネシュは、ズデーテン割譲の後に英国に亡命、保守派のチェンバレンに変わり反ヒトラーを明確に政策に打ち出した《ウィストン・チャーチル》一派と手を結び、ロンドンに"チェコスロバキア"の亡命政府を立てた。


そして1945年、祖国に戻り大統領に返り咲いた彼は、私怨による報復としか思えない政策、【チェコスロバキア在住のドイツ人とハンガリー人全ての資産没収と国籍剥奪】……世に悪名残した【ベネシュ布告】を行うなど、なんと言うか……どこぞの半島や大陸の頭並みに指導者として問題のあった人物のようだ。


また、【ソビエトの工作員疑惑】が上がる程のスターリン・シンパだったが、その肝心のチェコスロバキアの共産党と赤軍に権力の座を追われ、1948年に失意のまま謎の多い死を遂げた。(スパイとして用済みなので"処分"された謀殺説がある)



☆☆☆




だが、PPG世界ではナチス・ドイツではなく【プロイセン皇国】だ。


指導者はヒトラーではなく、選挙で選ばれて大統領に返り咲いたばかりのまだ若いが知性派で知られる《ハイドリヒ・ブリューニング》であり、また英国首相はチャーチルではなくプロイセンは重要な貿易相手国と考える保守派の頭目ネヴァル・チェンバレンのまま。

しかも、国際世論は明確に


【ゲルマン人に人種差別的政策を取っていたチェコスロバキアが悪い】


という見方をしていた。

こんな状況で【悪名高き"アカ"の人種差別主義者】なんて厄介者を、プロイセンを敵に回してまで亡命を受け入れる国はないだろう。


それはソビエトとて同じ事だ。

当時はまだ"冬戦争"の前で、【ベネシュ・ソ連工作員説】を認めるような真似をして国際社会から無用の注目を集めるような情況は得策じゃなかった。


結果としてベネシュはまだチェコ国内に潜伏(とはいえ、別に誰もベネシュを表立って指名手配はしてなかったが……)してるらしい。


自分が何をしたか自覚してるだけに、もしかしたらゲルマン人やスラブ人の報復を恐れてるのかもしれないが……




☆☆☆




だが、ベネシュ辞任の混乱が覚めやらぬ翌年1939年1939年3月14日にはスロバキアとカルパティア・ルテニアに独立運動が起き、それぞれスロバキア共和国/カルパト・ウクライナ共和国を名乗り独立を宣言したのだ。


そうズデーテン地方のプロイセン併合を契機に、ついにチェコスロバキアで民族運動に火が付いたのだった……




ベネシュ辞任後の1938年11月に国民民主党、人民党、商工中産党、国民社会党など主要政党を統合した【国民統一党(チェコスロバキア版"大政翼賛会"みたいな物)】を組織した親チェコスロバキア大統領ルドルフ・ベランは、この混乱の収拾を図ろうとしたが、中々"鎮火"しなかった。

当たり前である。

ベランの国民統一党はベネシュの反動からか右派政党、チェコ人(ボヘミア人)優先主義で、やはりスロバキア人(スラブ人)など他民族の地位は改善されなかったのだから……




ベランが解決の糸口が見つけられない間、ついにチェコスロバキアの混乱を望まない……ズデーテン地方併合で引金を引いてしまったプロイセンが呼びかけ、チェコスロバキアを生み出すきっかけにかなったイギリス&フランス、チェコスロバキアと同じく旧【オーストリア=ハンガリー帝国】だったオーストリア/ハンガリー/ポーランド等の関係国が、オーストリアの"ウィーン"集まり、会議が開かれた。


世に言う【ウィーン裁定】である。




☆☆☆




結局、


【民族問題を解決するには一度分離独立させ、民族自治させるのがベスト】


と結論に至り、ベランも治安の極端な悪化と断れば国際社会から隔離されかねない恐怖から、そのプランを受諾。


ここに何度か出てきた【平和な離婚】調停が成立したのだった。










**********




だが、皆さんは不思議に思わないだろうか?


【平和な離婚】で話題が出るのは、常にチェコとスロバキアだけだ。

しかし、"ウィーン裁定"の時はカルパティア・ルテニアの独立も承認され新たに【カルパト・ウクライナ共和国】が誕生した筈……


そう、この話にはまだまだ血腥い続きがあるのだ。




☆☆☆




1939年11月……

"冬戦争"にCETO(欧州十字教条約機構)が介入を決定し、加盟各国が兵力を義勇軍としてフィンランドに派兵した直後、ハンガリーが『スロバキアとカルパティア・ルテニアは旧領であり祖国復帰すべき』と宣言、さらにポーランドが【チェコ領シレジア】の割譲を突如要求した。




そう、もうお分かりだろう。


ハンガリーとポーランドが、チェコスロバキアのチェコ/スロバキア/カルパティア・ルテニアの分割に賛成したのは、これ……弱体化した新国家から領土の奪取を狙っていたからだ。




蛇足ながら、この時ハンガリーは『スロバキアの住民の大部分は、ハンガリーとの併合を望んでる』という情報操作を行いプロイセンに流していた。


プロイセンの政府情報部と軍情報部が潜入工作員を使い独自に調査した結果、当然そんな事実はなかった。


あまりに愚弄した行為にプロイセン政府と外務省は静かに怒り、それを世界中のメディアにリーク、プロイセン国内では、


『マジャール人(ハンガリー人)はペテン師の集まりだ。信用するな』


と大顰蹙を買った。




☆☆☆




話を戻すが……

ハンガリーもポーランドもこのタイミングを狙っていたのだ。


一番恐ろしいアメリカは同年の8月15日に始まった【太平洋戦争】にかかりきりで、またアメリカの息のかかったプロイセンやオーストリア、やでしゃばりなフランスは冬戦争で兵力を抽出……


保守の権化で植民地戦争込みの植民地経営に忙しいイギリスは、単独で欧州内陸の問題に介入すること等まず有り得ない……




☆☆☆




だが、生まれたばかりのスロバキア共和国は小国故に、有事に備えて手を打っていた。


そう、極秘外交で他国に戦争を仕掛けられた、あるいはその可能性があればスロバキア政府の要請があり次第、【身売り】……プロイセンの"保護国"になる秘密協定が成立させていたのだ。


保護国になるという事は、独立国としての誇りや面子を失う事だ。

だが、それよりも生存を望んだ……名より実を取ったのがスロバキアだった。




だが、完全に出遅れたのがチェコ共和国とカルパト・ウクライナ共和国だ。


そして、この二国はCETOにも加盟していなかった……




かくてカルパト・ウクライナ共和国はスロバキアに手出しできなくなったハンガリーに宣戦布告されると、短い戦争の末に滅亡。

再び"カルパティア・ルテニア"という"地方"としてハンガリーに組み込まれた。




また、チェコはポーランドに攻められ、"シレジア"を占領され、失った。


そして、その責任を取る形でベランは辞任せざるを得なくなったのだ。




欧州のカオスはまだ続く……






次回へと続く







皆様、ご愛読ありがとうございましたm(__)m


なんといきなりチェコ征きに変更&唐突にリッベントロップ登場のステージは如何だったでしょうか?(^^;


中身は我ながらかな~りドロドロです(汗)


実は……

1939年3月14日にはスロバキアがスロバキア共和国、カルパティア・ルテニアがカルパト・ウクライナ共和国として独立を宣言。


1939年11月、ハンガリーが旧領のスロヴァキアとカルパティア・ルテニアを、さらにポーランドがチェコ領シレジアの割譲を要求。


というのは史実だったりします(;^_^A




次回は正直、土日かけて1話アップできるか分からないレベルですが、お待ち頂ければ嬉しいですよ~♪


それではまた次回があって、皆様にお会いできる事を祈りつつ(__)





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ