Prologue
ふと思いついた作品です
この作品は現在作者が書いている”永遠の悪魔と魔法少女達の物語”と並行して書きます。なので、どちらとも更新が遅れる可能性があります。
ですが、どちらも今書きたいのです。どうかご理解ください。
この作品は名前を隠すとき、■で表してます
それでは英雄武装士どうぞ
「…おい、おい!」
……何やら耳元で俺を呼ぶ声が響いている。というかあれ、俺意識を失っていたのか?
「しっかりしろ‼ 死ぬな!」
さっきから五月蝿いな。誰……というより、俺は確かこの声を知っていたような…
「頼む! 目を開けてくれ■■‼」
あーもう分かったから
俺は煩わしいと思いながらも目を開けた。
目を開けると、目の前には女性が心配そうに俺を見ていた。
「良かった……■■」
えっと、ああ思い出した。この人は俺の■■■だ。
確か、今日は■■■のあれを見に来て、それから……
あれ、つか、何でこの人まるで中世の騎士みたいな格好しているんだ?手にはキラキラと装飾が施された黄金色の剣を持っているし。
……ん? 何だ?何か腹の辺りが生暖かい。
俺は腹の辺りを触れてみると、
ドロリ
「ぅ、あ」
血だ。手には夥
おびただ
しい量の血が付いていた。
視線を向けると■■■は顔を真っ青になってこちらを見ていた。
……ああ、そんな顔で見ないでくれ。俺は■■■のそんな顔は見たくない。
なんて考えていると、ふと異様に熱いことに気がついた。
俺はノロノロと頭を回して周りを見ると、
「何だよ……これ」
燃えていた。建物は所々崩壊していて、もはや原型の建物がどうなっていたかは初見の人には分からないだろう。
そして、炎の中になにやら黒い靄
もや
みたいなものがウヨウヨと漂っていた。
「まったく……笑えねえ…」
「だな」
独り言のつもりだったのだが、■■■には聞こえたらしく、俺を見て苦笑していた。
「ホント、今日ぐらい出て欲しくなかったな。折角の大事な日だったのに」
ん?何だ、■■■はあれがなんなのか知っているのか?
俺がそれを聞くと、■■■は困ったような笑みを浮かべ、それでいて、ふと笑みを収め何か考え事を始めた。
「悪い、■■。これ持ってじっとしていてくれないか?」
そう言うと、■■■は腰に携えていた手に持っていた剣ものであろう鞘を俺に渡してきた。
その鞘も剣と同じように、黄金色をしており、見るからに価値が高そうだった。
「な…んで?」
「お前を待ってくれるお守りだからだよ」
そう言って■■■は頭をクシャクシャと撫でてきた。
けど、自分でも分かる。俺は
もう助からないだろう。
「■■■……やめてよ」
俺はそう思いながらも表情に出さずそう言って、鞘を受け取った。
鞘は酷く重く……それでいて、どこか懐かしかった。
「…あるべき場所に戻ったな」
「………えっ?……」
■■■が何か言ったような気がしたが、何でも無いと言って、立ち上がった。
「■…■■?」
俺に背を向けて剣を構えた■■■に俺は声を掛けた。
今、声を掛けないと二度と会えない気がしたからだ。
そんな俺の心情を感じ取ったのか、■■■は後ろを振り向いて俺に笑いかけた。
「大丈夫だ■■。ちょっとあの黒いのやっつけて直ぐに戻ってくるよ」
「…本当?」
「ああ。もちろんさ、約束だ」
約束
その言葉を聞いて俺は安心した。
■■■は一度も俺との約束を破ったことは無かった。どんなことがあろうとも、だ。
安心した俺を見て、■■■は俺にもう一度笑いかけ、そして炎の中に勇敢にも駆け抜けていった。
そんな■■■を見ていた俺は急に瞼が重くなった。
そして、意識を失った。
次に目を覚ましたとき、あの人が初めて約束を破ったことを知った。
感想待っています。