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相手が魅了を使うならこちらはマインドコントロールを使ってもいいじゃないかで婚約破棄

作者: 山田 勝
掲載日:2026/04/26

「これからボーク侯爵令嬢エミリアの断罪を始める!」



 ランクフルト殿下の断罪が始まったわ。

 隣にはピンクブロンドの平民学生がいる・・・



「副会長でありながら、生徒会の仕事は全てサユリがやったではないか?」



 サユリ様とは・・・・

 学園に突然現れた女子生徒だわ。

 出自が不明。孤児院出身だけど英知がある。


 いえ、それだけではないようだわ。

 サユリ様のクッキーを食べた者は目がトロンとなるわ。

 もしかして魅了と思い。陛下に訴えたけども無視された。





 情報ギルドに探らせたが、誰かから習った形跡がない。本当にギフトがあるようだ。


『まるで異世界から来たみたいに痕跡がないのです』と情報ギルマスは言っていた。


 なら、異世界がらみかもと私は異国の商人から異世界の物を買った。


 いわゆるマインドコントロールに使うものらしい。

 禁断の方法だ。そもそもマインドコントロール出来るのだろうか?





 今日はサユリ様の提案で始まった学園祭の初日だ。全生徒の耳目が集まる。


 悔しいけど学園祭自体はとても良い物だわ。

 まるで、全て先が分かっているようなサユリ様の活動に私は無能の様を晒すしかなかった。


「殿下、エミリア様をそんな叱らないで下さい」

「おお、サユリは優しいな」


「「「国母に相応しい」」」


「国母なんて・・・私には無理です。でも、例えやるとしても皆の協力がなければ・・」

「サユリなら出来る。いや、私も協力する。その前に、婚約破棄を宣言しよう」




 2人は私を無視して会話をする。

 だから、私は商人から買った異世界の文物を見せる。紙だ。異世界の文字で詠唱が書かれている。


 名は・・・



「殿下、サユリ様、サユリ様が異世界人か判別する紙でございます。『コーアン2年』です。ご覧下さい!」


 と懐から紙を出して、殿下の方に向けたら・・




 その時、突然、辺りは光に包まれた。


 ピカッ!


 周りにいた学園生達の悲鳴が聞こえる・・・

 光が収った時、私は壇上にいた。殿下達と位置が入れ替わっているわね。

 あら、突然、言葉が浮かんで来たわ。




【諸君!私はエミリアであってエミリアではない。妙法のジャンヌ・ダルクである】



 自分でも意味不明なことを言っているのは分かる。



【私の派閥はサユリ様の派閥に比べて30分の1以下である。なのに、何故、私はここにいるのか?】



 皆は、あら、放心して聞いているわ。




【それは、私が正義であるからに他ならない!】

【人が変われば周りが変わる。周りが変われば地域社会!王国、世界が変わるのである!】



【立てよ!王国貴族よ!】


 会場はシーンとなった。


 その後・・・



「「「「南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経・・」」」


 奇妙な詠唱を唱え始めた。まるで宗教団体のようだ。




 その後は・・・この宗派は王国を侵食し始めた。


 皆、何故か私を奥様と呼ぶ。



「奥様の健康と長寿をご祈念いたします」


「「「「南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経・・」」」



 また、ナーゲーキョウだ。



「奥様、新聞を作りました!100万部の大戦果でございます!大戦果!」


「「「「南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経・・」」」



「奥様の派閥を作りました!公平党です!」


「大戦果!」




 皆の目がギラギラ輝くが・・・何か怖い。





 ☆☆☆一年後



「・・・・とここまでで何か分かりますか?」


 私は今現在自由都市にいる。自由都市とは王国間の事情で自治が許された都市だ。

 話を聞いている黒髪黒目の民族たちは目を丸くして言う。

 何でも異世界の学徒集団で転移したようだ。



「それって・・・幸せの科学?」

「いや・・・ナーゲーキョーは南無妙法蓮華経じゃない?」

「何か政党を持っている宗教団体があったな・・・」



「それで、何故、エミリア様は王国を追い出されたの?」


「はい、それは・・・」





 ☆☆☆


 あの後、あれよ。あれよと組織は大きくなりました。

 ええ、コーアン2年の紙があれば皆、私の言う事を聞きます。



「エミリア様、申訳なかった!希望なら結婚しても良いぞ」

「殿下・・・」


 殿下は騙されたとは言え。さすがに、それは無理でした。


 組織はドンドン大きくなりました。

 王族の中でも信者が出てきたときに・・・


 廊下の階段付近でサユリ様に会いました。

 ええ、あの後、ないがしろにされてましたが・・・



「エミリア様!私を後継者に指定して下さい」

「それは・・・無理よ」


「エイ!」

「キャア!」


 突然、襲いかかり懐を探られました。


「あった!この紙があれば無敵だわ!」

「それは返して!」


 ええ、コーアン2年の紙です。


 私が返して欲しいと手を伸したらサユリ様を押してしまいました。


「キャア、サユリ様大丈夫ですか?」


 階段に落ちたサユリ様は・・・頭から血を流していても笑っていました。


「フフフフフ、私が二代目の会長よ!」


 紙が黒く光っていましたわ。ええ、文字の所が・・・


 それから私は怖くなって逃げ出しました。

 全てを捨てて。


 こうして何とか自由都市に逃げ延びましたが、祖国がどうなっているか。

 お父様、お母様、兄弟姉妹たちが心配です・・・




 ・・・・・・・・・・・





「こうして、異世界出身である貴方たちに相談しているのです」


「分からないな・・・」

「どうしたらいいかしら・・」



 皆も知らないようだわ・・・


 その時、一番奥で黙って聞いていた女子が言うわ。



「大丈夫よ。王国に帰っても・・・但し、いろいろ話しかけてくるかもしれないけど、お呪いを教えるわ」


「まあ、教えて下さいませ」



「・・・それは・・」





 ☆☆☆



 祖国に戻った。

 だが、いたって普通だった。学園生のほとんどがマインドコントロールされたように思えたのに。


 屋敷に戻った。


「エミリア、無事か?」

「お父様、心配かけましたわ」


 何でも殿下を中心にマインドコントロールが広まったが・・・ある一定数の数を超えないそうだ。


 これもあの女子の言った通りだわ。



『大丈夫よ・・・人口の100分の1の勢力の声が大きければ、それなりに影響力があると思うものよ。錯覚よ。貴方が気に病む必要はないわ。ある一定の人達は何かに染まるのよ』


 その時、お兄様が慌てて飛び込んで来た。



「父上!殿下とサユリ殿が来られています!」

「しかも、集団です!」

「何だと!」



 殿下とその一派が大勢で屋敷に来た。

 目的は・・・



「反逆者エミリアを寄越せ!」

「仏敵エミリアは野垂れ死ね!」



 どうやら、私はマインドコントロールの敵に認定されたらしい。



「お止め下さい!」



 執事達が止めている。

 私は執事達の前に出る。




「エミリアだ!」

「全く、どこから魔が出てくるか分からないわね」

「大悪を見逃すな!」


 あの女子から教わった詠唱を言う・・・



「皆様、お話は分かりましたわ、『そうか、そうか』ですわ」



 すると、皆は目がうつろになって屋敷を出た。

 これもあの女子の言う通りだ。



 ☆☆☆


『聞き流しなさい。そうか、そうかと聞き流せが私の世界の常識よ』

『そうか、そうかですね・・・それとコウアン2年の紙とは・・・』


『それわね・・・文字曼荼羅よ。憲法判例百選に載っているかしら・・』

『いったいなんですの?』


『ただの紙よ。日蓮というクソ坊主が鎌倉時代の弘安2年に書いたただの文字の配列よ。但し、偽書説が濃厚よ』




 ・・・・・・・



 結局、殿下は王位継承権を剥奪され。陛下は責任を取って退位した。

 殿下とサユリは市井の団体で生き残ることになったが・・・

 そうはさせない。勢力を拡大させない。



「そうか、そうかですわ」

「「「はい」」」


 私は対処法を教えるようになった。



「エミリア様、大変です」

「まあ、何?」


「今度は宇宙神そらがみの生まれ変わりと言う令嬢が現れました」

「同調する者が少なからずにいます」



 これは何かしたら・・・


「皆様、心して対処しましょう!対策を立てるわ!まず情報を集めなさい!」


「「「はい!」」」


「でも一番の対処法は家族の愛よ!」

「「「はい」」」


 案の上、異世界の方に聞いたら、『宇宙神のくせに親子喧嘩してんじゃねー』だった。


 そうだ。家族、友人、周りで補い合い助け合えば決してマインドコントロールに陥る事はない。

 異世界の良い物だけが来るとは限らないようだ。




最後までお読み頂き有難うございました。

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