表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

第8話 「黒手の侵攻」

王城を握り潰す巨大な“黒い手”。

その奥から現れたのは――人ならざる存在。

怠惰な最強、ついに王都防衛へ。

王城を覆う巨大な“黒い手”は、まるで影が凝固したような質感だった。

不気味なほど静かに動き、建物を指先で弄ぶように押し潰す。


「……だりぃ。朝からバケモノかよ」


リオンが欠伸しながら呟く。


「リオン、あれ……何なの?」


「知らん。けど――“外側”の気配だな」


「外側?」


リオンは無造作に空を指差す。


「世界の外からくるヤツら。

 普通は結界が弾くんだけど……誰かが呼んだっぽいな」


そう言った瞬間、その“黒手”がギギギと向きを変え、リオンたちを見下ろした。


【■■■■■■――】


音にならない咆哮が響く。

鼓膜ではなく、魂を震わせるような異音。


「っ……!」


リズは膝をつきかけた。

だが、すぐにリオンの黒風が彼女を包む。


「大丈夫だ。耳ふさげ」


彼は、ただ一歩前に出た。


たったそれだけで――

黒手の咆哮は一瞬で掻き消え、周囲の空気が爆ぜた。


◆◇◆


黒手が王都に向けて下降し始めた。

ひと薙ぎで、街ひとつが消える距離だ。


「避難! 避難しろおおおおっ!!」

「やばい! あれは……魔力じゃねぇ……!」


兵士たちが逃げ惑う中、リオンだけが微動だにしない。


「リズ」


「……うん」


「半分だけ使うわ」


「は、半分……?」


リズの喉が引きつる。

だって――

第6話で“本気の1%以下”で神殿を揺らした男だ。


それを聞いた黒手が、さらに巨大化しながら迫る。


ドォン――!


地面がひび割れ、影の巨体が覆いかぶさる。

誰もが最悪の結末を覚悟した。


ただ一人、リオンを除いて。


「鬱陶しいんだよ、デカイだけの雑魚が」


リオンは右手だけを軽く上げた。

指先に黒い魔力の粒が集まる。


そして――


《黒王の息吹ブラック・ブレス


その一言で、世界が裏返った。


刹那。

空が裂け、巨大な黒手は光も音もなく消滅した。

残ったのは、空にぽっかりと開いた“虚無の穴”だけ。


「ひ……っ、消えた……?」

「何をした……何を……?」


兵士たちが恐怖に膝をつく。

理解など追いつくはずがない。


リズでさえ、見開いた目を閉じられないままだった。


「リオン……今の……」


「ただの息抜き。

 ってか、これでも昔より弱くなってんだけどな」


淡々と、退屈そうに言う。


だが、その瞬間。

虚無の穴から“何か”がこちらを覗いた。


黒手の本体。

それは、うねる影の塊。

世界の常識を拒絶する形状。


【■■■■■■■■■■――】


鼓膜を破壊する咆哮。

王都の建物が数十棟、音も無く崩れ落ちる。


リズが思わず叫ぶ。


「リオン!!」


しかし――


「……はあ。まだいたんか」


次の瞬間、リオンの背中から“王の紋章”が浮かび上がった。

黒い翼のような魔力が広がり、周囲の影をねじ伏せる。


「だったらまとめて相手してやるよ。

 ただし――俺を起こした責任は取れよ?」


黒い王が、完全に目を覚ました。

巨大な“黒手”は前座。

本体が姿を出し、ついにリオンが半覚醒状態に突入しました。

次回は 黒王 VS 外側の怪物 の本格戦闘になります。


次回、第9話「外なる影、虚無の王」

――王都の空が割れ、世界が震える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ