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第8話:光濁(こうだく)

作者:mannboo5
仄命子を視たあと、視界は変質した。
もはや「外界を視るための視覚」ではなく、
視覚の記憶だけが濁った膜のように世界に残っている──

言葉は消え、名の輪郭も失われていくなか、
視界の奥からある“音の断片”が浮かび上がる。

それは「ノ……エ……」という、
まだ呼ばれていない名の前駆的な響き。

誰も呼んでいないのに、誰かが呼びかけた気がする。
誰にも届いていないのに、どこかの記憶に触れた気がする。

ノエル──
それは、名でも記憶でもなく、
ただ「意味が崩壊したあとに残された音」だった。

世界は、仄命子の影に濡れながら、
ノエルという音に滲んでいく。

光が濁るとき、視線は祈りに似たものへと変質していく。
その祈りもまた、名を持たぬ存在の静かな残響にすぎなかった。
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