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プロローグ

 

 ◆


 田舎とは、もっとこう――のどかで、静かで、畑とか耕したり、お茶とかすすったりして、朝は鳥のさえずりで目を覚まし、夜は星を見上げながら寝るものだと思っていた。


 だが現実は。


「今日も三匹目ーッ!? このっ、くたばれ魔猪!!」


 森の中で暴れる巨大な魔猪まじしに、少女――ナタリア=ラタトスクは木を折る勢いで大太刀を振るった。バキンと音を立てて、魔猪が吹き飛び、森の奥へ消えていく。


「……ふぅ。よし、これで朝の見回り完了っと」


 朝の見回り。


 そう、ナタリアの一日は早い。そして激しい。


 スローライフに憧れてやってきたこの田舎・ミスト村は、地図の端っこにぽつんと存在するのどかな集落――のはずだった。しかし、現実は魔物の通り道。おかげでナタリアは毎日、剣を振るって村を守る日々を送っている。


「……なんか、ちょっと違う気がするんだけどなあ……」


 空を見上げるその顔は、うっすら日に焼け、健康的そのもの。かつて街娘だった頃の儚げな白肌はもうない。筋肉も程よくついて、妙に輝いて見えるナタリアの姿は、もはや戦士というより、女神のようだった。


 そんなある日。


「ナタリア=ラタトスク殿はおられるか! 大国イシュグリアの王子、オルクス=リゼル様が、貴殿を訪ねて参った!」


 村の入り口で、ひときわ目立つ豪奢な馬車が止まった。


 これが、スローライフを望む少女と、スローライフの“ス”も知らぬ王子との、騒がしくも恋に満ちた戦いの幕開けだった――。


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