1.教育相談
「多川、次だぞ」
「……ありがと」
前の男子に言われて、俺は席を立つ。
教育相談は、めんどくさい。気まずいし、気分が沈む。教室を出てすぐの階段のとこに、担任は座っていた
「多川……このクラスは嫌いか?」
「……別に……」
本当は嫌いだ。うるさくて、相手のことを考えないクラスなのだから。
「嘘だな」
なんで分かったんだ……?
「クラスの問題点を十個ぐらい挙げて、消してただろう」
教育相談の前に書かされるプリントを見せられる。確かに、1回書いたな……。
「……友達はいるのか?」
「他のクラスになら万といますよ。」
担任は少し考えていた。
「そういえば、秋原がクラスが嫌そうな顔を毎日してるな。話しかけてみたらどうだ?」
秋原……?
「その顔は、知らない顔だな」
正解ですよ、先生。
「テストの点は悪くない。でも、人付き合いは不器用のようだ。クラスになじんでいるようにみせられるお前なら、仲良くなれるんじゃないか?」
先生……いいこと言ってくれるぜ。
「話しかけてみようと思います」
「クラスに話せるやつがいないのは困るからな。しかも、多川は人を拒絶してないから助言も意味がある」
「ありがとうございます」
ほんとにありがとう、担任。