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幻想奇譚

雪月花

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

とても綺麗なものを見ました。

冬空は、薔薇色の朝焼けがとても美しく感じます。霞の如き綿雲が空に濃淡を付けて、様々な景色を見せてくださいます。雲で光が遮られる際には青紫に、ありのままに注ぐ歳には赤紫に、まるでお洒落なカクテルに身を沈めた様な色彩が広がっております。

真冬の朝はとても寒くていけません。けれどもそれが私の楽しみの一つであった事には違い無いのです。

そんなある時、何時もよりも暖かさを感じた休日の朝に、何時もの様に顔を上げて空を見上げました。広がるのは先日とは事なる色合いの朝焼け、けれどもそれよりも人目を引くものが本日は共演なさっております。

朝焼けに朧に浮かんだ白丸。それは大きく、この視界一杯広がる淡い色彩の中に空いた一つの穴の様で御座います。……それはお天道様と呼ぶには余りにも控え目で、今にも消えてしまいそうな明月。この様な時間に月を見ることが無かった私にとって、それは余りにも息を飲む光景で御座いました。そんな絶景から、ふと我に返り、一足踏み出します。本日は訪れたいところが何ヶ所か。その時に聞こえた硝子の砕ける音。冬はまだ遠く。


厚手の上着を着て、訪れた場所は何度も顔を出している寺院で御座います。お正月に初詣にお参りする事が出来ません故、今こうして訪れております。

時折馨る、濃密で上品な香木。香りだけでその場所が近くに存在することが分かります。硬い煉瓦作りの道を歩いた先に見掛けたのは、時代を感じさせるしっかりとした木柱。あぁ、もう少し。逸る気持ちを携えて、向かった先。そうして門の先に広がる一本道に、先月とは違った事がただ一つ。

梅の花。限りなく赤に近い桃色の。それが幾重にも枝先に飾りを付けて、(しだ)れております。近くまで近付いて見てみると、小さい分色味がぎゅっと凝縮して果実のよう。思い返すのは、あの方の和歌。春の訪れを告げるよう、残されたあの方の和歌。

朝焼けを見たのです。残月を見たのです。霜を踏みしめたのです。故、春はまだ遠く。そう感じていたのです。けれどももう、すぐそこに。


「紅梅」

「はい」

「もう、春はすぐそこだね」

「はい。我が君」

「もう、飛ぶ必要もなくなったけれども、それはお前が此処にいてくれるからだね」

冬の醍醐味と言えば朝焼けだと思ってます。

ふと空を見上げると、赤紫のグラデーションがとても綺麗なんですよ。

そうして幸運にも、 残月も一緒に見れました。


朝焼けが綺麗だと、月も綺麗だと、まだ霜が残っていると、冬はまだ遠いと思うんですよ。


でも梅の花を見て、春の訪れを感じました。

紅梅って真っ先に、何よりも先に花を咲かせて春を告げる。

『梅の花が春告花なんだよ』

と言われた事を今更ながら思い出します。

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