9-6.真実
(…これで、イリスも療養に専念できる)
守衛館付きの医師には、既に伝聞を送ってある。受け入れ態勢は整っているはずだ。
「アーク、私、先に行って病室を準備しておくわ」
「ああ、頼む」
ソフィーが医療施設に駆けて行く。アークもイリスを背負い直してから、その後を追いかけた。
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医師から回復魔法を施されたイリスは、病室のベッドで眠っている。魔力が危険な水準まで低下しており、しばらくは絶対安静が必要とのことだ。
イリスの一件は他の騎士たちにも伝わり、守衛館内は俄かに騒がしくなった。そんなざわめきが、食堂の女将のもとにも届いた頃、ふらりとアークが入って来た。
「あ…っ、アッちゃん!聞いたよ、さっき運び込まれた天使様、アッちゃんの幼馴染なんだって…?」
「…ああ」
心配そうに覗き込んでくる女将に向けて、アークは頷き、徐に手にしていた袋を差し出す。
「これで、スープか何か作ってやってくれないかな」
女将が袋を受け取ると、中には回復の作用を持った木の実や薬草が、いっぱいに詰まっていた。
「分かった。とびっきりの逸品、作ってあげる!」
女将は大きく頷き、厨房へと消えていった。




