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8-15.宴
「…イリス、無理はするなよ。何かあったら、俺を呼んでくれ。必ず、助けに行くから」
ベッドに腰掛けるイリスの前に屈み込み、その目を真っ直ぐに見つめて。
目の前のアークの空色の瞳に、イリスはまだ、頬に熱を持ったまま、こくりと頷いた。
アークも安堵したように微笑むと、イリスの髪を優しく撫でる。
「じゃ、俺は仕事に戻るよ。おやすみ」
「…あ、アーク!」
部屋を出ようとするアークの背中を、イリスが呼び止めた。
「今日は、来てくれてありがとう。アークと一緒にご飯食べられて、嬉しかった」
「…そっか。じゃあこれから、ちょいちょい寄るかな」
そう言ってアークが照れたように笑うと、イリスも満面の笑みで頷く。
「うん!絶対来てね!待ってるから」
「おう」
アークはしっかりと頷いてから、静かに扉を締めた。




