表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/122

8-13.宴

「…懐かしいな、この家で飯食うの。騎士団に入る前だから、6年振りか」


「うん、そうだね」


イリスも頷き、最後まで残しておいたポテトグラタンをフォークで掬い取った。


「アークは子供の頃も、よく森から木の実を取って来てくれたよね」


森の中には、国内では育たない甘い果実が何種類も生育している。アークはそれを知っていて、騎士団に入る何年も前からこっそり森に入り込んでは、イリスの分も取って来て食べさせてくれた。


「それでいっつもお母さんに見つかって、怒られて」


「はは、そんな事もあったな」


アークも苦笑を零す。森は危険なため、騎士以外の人間が立ち入ることは原則禁止されているが、木の実を目にしたイリスの喜ぶ顔が嬉しくて、つい何度も忍び込んでしまったのだ。


「はぁ、とっても美味しかった!」


一足先にフォークを置いて、両手を合わせるイリス。


「これで少しは、仕事の疲れも取れたか?」


「うん、すごく元気が出て来た!さっきまでお腹が空き過ぎて動けなかったの」


「おいおい…お前、騎士より過酷な仕事してないか?」


冗談交じりに笑って見せるイリスだが、アークはふと、真剣な眼差しを向ける。


「明日は神殿の仕事、休めないのか?」


アークと見つめ合ってから、イリスは微笑んで、首を横に振った。


「1日でも休むと、浄化のエネルギーが淀んじゃうの。昨日の黒竜のこともあるし、結界はしっかり保たないと」


「そうか…」


確かに今、結界が弱まることは避けたい。しかしイリスは、目に見えて消耗している。


強い魔力が必要とされるという神殿の浄化。こんな状態で、身体は大丈夫なのか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ