8-12.宴
「…なんだ、帰ってたのか。明かりが点いてないから、居ないのかと思った」
「アーク…!」
アークは微笑みながら、炎の魔法種で手早くランプに明かりを灯す。
「ほら、これ。お前の分ももらって来た。開けてみろよ」
そう言って、イリスの前に持ってきた弁当箱を置く。
イリスがそっと蓋を開けると。
「わぁ…美味しそう!」
箱いっぱいに詰められたたくさんの料理。イリスの笑顔を見てアークも笑みを深め、自分も弁当を手に椅子に座った。
「さ、あったかいうちに食べよう」
「うん!いただきます!」
イリスは早速フォークを手に、料理を口に運ぶ。
「美味しい…!どれもこれもほんとに美味しい!」
目の前でイリスは、これ以上ないほどの笑みで顔を崩しながら頬を押さえている。あっという間に無くなっていくイリスの弁当に、同じく料理を食べ進めるアークは、思わず笑いを零した。
「弁当1つじゃ足りなかったか?」
「だ、大丈夫だよ!そんなに食い意地張ってないもん!!」
アークの言葉に、イリスは真っ赤になって手を止める。するとアークは、優しい笑顔でイリスを見て。
「別に、食べたきゃ我慢することないだろ。城に戻って取って来てやるよ」
穏やかな声音に、イリスは目をぱちくりさせてから、ゆっくりと首を横に振った。
「ううん、もう、十分お腹いっぱいだから、大丈夫。…ありがと、アーク」
「そっか。そりゃ良かった」
アークもひとつ頷くと、再び料理を口に運ぶ。




