8-11.宴
「…そうだ。これ、弁当か何かに詰めて持って帰れないかな」
「ん?何でわざわざ持って帰るの?」
隣で料理の品定めをしていた女将が顔を上げる。
「いや…俺の幼馴染の天使がさ。仕事が忙しくて、来れないみたいなんだ。弁当にすれば、家まで届けてやれるかなって」
「ほぉ~、なるほどね!さっすがアッちゃん、優しいねぇ」
女将は、目を細めながら。
「よし、じゃあ早速届けてあげなさい!…あっ、そこのお姉さん!お城にお弁当箱はないかしら?2人分ね!」
女将に声を掛けられた侍女は、にっこりと頷いて城の中へ駆けて行った。
こうして、アークは2人分の料理を手に、足早にイリスの家へ向かうのだった。
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4か所の神殿の浄化を終え、イリスは家に着くなり、倒れこむように椅子に腰を下ろした。
(うう、疲れた…お腹空いて、動けない…)
机の上に突っ伏しながら、気を抜いたらこのまま寝てしまいそうだ。
(これじゃ、お城にはとても、行けそうにないな…)
アークはもう、城に着いているだろうか。約束を守れないことを、謝らなければ。
そんな思いに反して、疲れ切った身体はぴくりとも動いてくれない。イリスにはもはや、伝聞を飛ばす力も残っていなかった。
(今日はお城でたくさんご飯食べて、回復しようと思ってたのに…)
何か食べなければ力は戻らないが、食事の用意をするための力がない。完全に八方塞がりだ。
動けないまま、窓の外は刻々と暗くなっていく。
――そして。
突然、扉からノックの音が響いた。
驚いたイリスが、どうにか上体を持ち上げる。すると、扉を開けて入って来たのは――




