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7-10.異変

レギオンを送り出した後、カーシャは一人、祭壇の間に佇んでいた。


天使たちの結界が竜を追い返し、リルフォーレの平穏は守られたという、レギオンの言葉。


しかし、だとしたら何故。


(――何故、今も浄火の炎は、乱れ続けているの?)


カーシャが見上げる先で相変わらず、激しく揺らめく紅蓮の炎。


(リリーフェ様は一体、何を私たちに伝えようとなさっているのかしら…)


考えども、答えは出ない。溜息を零し、カーシャはしばらく、浄火の前で立ち尽くすのであった。



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「ただいま」


右手をひらひらさせたジルが、守衛館内の詰め所に戻って来た。


「お帰り。カイの様子、どうだった?」


「ああ、もう心配いらんよ。軽い“魔力欠乏(パワーラック)”だ」


心配顔のソフィーに向けて笑いかけてから、ジルは椅子に腰かける。


先ほど、黒竜との防衛線の最中に、カイは突然苦しみだし、守衛館に隣接する医療施設に緊急搬送された。


黒竜騒ぎが一段落してから、ジルが病室に様子を見に行ったのだが。


「一晩安静にしとけば問題ないとさ。明日の宴のこと話してやったら、『それじゃあ明日に備えて休まないと!』っつって、いそいそとベッドに潜り込んじまったよ」


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