7-7.異変
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一方その頃、魔物の襲来など夢にも思わぬイリスは、今日も4か所全ての神殿を浄化して回っていた。
「これで、最後…」
西の神殿の清めまで終え、祭壇の前に両手を組んで跪く。
浄化の呪文を唱えると、祭壇が白く発光し、やがて光が神殿全体を包み込んだ。
そして、黒竜と対峙するアークたち騎士団は、守衛館からの応援部隊も加わり、強力な光の壁を形成し侵入を防いでいた。
迎え撃つ準備は万全だが、アークの読み通り黒竜がこちらに向かってくる様子はない。相変わらず、しきりに鼻を動かしながらキョロキョロ辺りを見回している。
――その時。
光の壁を維持し続けながら、アークは自分たちを包む浄化の力が、また一段強まったことを感じ取った。
そしてそれを、黒竜も同じく察知したらしい。
目の前で、黒竜はアークたちにゆっくりと背を向けると、翼を広げて森へと飛び去って行った。
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