7-4.異変
そして。
その日の午後に、それは起こった。
「よ~し、これだけ集めれば十分だろう!」
守衛館の裏手、国土の外れにある森の入り口で、ジルがパンパンに膨らんだ麻袋を地面に降ろす。
女神祭も今日で折り返し。野草の在庫が大分品薄になってきたとのことで、アークたちの班を含む若手騎士たちは急遽、森での採集業務に駆り出されたのであった。
「うおっ、ジル先輩、大漁っすね!」
そう言うカイの麻袋は、まだ半分ほどしか膨らんでいない。
「ちょっと、あんたそれしか採って来なかったの?なっさけないわねぇ」
隣でソフィーが苦笑しながら、ジル同様いっぱいになった麻袋を肩から降ろした。
「い、いやいや、俺だってこれでも頑張ったんすよ!?」
「いいから、あれ、見てみなさいよ」
そう言ってソフィーが指さす先に。
満杯になった麻袋3つを荷車に積み込む、アークの姿。
「うげぇ…マジすか…」
「はっは!あいつは特別だよ。昔から勘が良くてな。どこに何の植物が生えてるか、森を見れば大体分かるんだと。」
「騎士として生きる上でも大切な知識よ。あんたも一度、アークについて森を歩いてみるといいわ」
笑い合うジルとソフィーを前に、カイも目を輝かせる。
「なるほど!勉強になります!」
そう言って3人、アークに続いて荷車へと向かっていた、その時だった。




