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7-2.異変





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それから、少し経った頃。


早朝、ハンナからの伝聞で目を覚ましたイリスは、迷いながらも大聖堂に足を向けていた。


浄火の炎が、乱れているとの報せ。リタたち3人が神殿の浄化を放棄してしまったことが、何か関係しているのだろうか。


いずれにせよ、この一連の出来事を、一度天使長カーシャに相談したかった。


昨日の疲れが抜けきっておらず、身体が重い。…いや、それ以上にイリスの足取りを重くしているのは、昨日リタから投げかけられた言葉だ。


天使が互いに助け合い、国を守ること。イリスは天使として、それを誇りに思ってきたが、リタたちにとってそれは『押し付け』だという。


まるで、イリスの生き方そのものを、否定されてしまったようだった。


幼い頃、母が何度となく話してくれた。『リリーフェ様が、私たち天使に与えてくださった力は、ほんの少しずつ。けれど、天使たちが力を合わせれば、リルフォーレを光の加護で満たすことが出来る。そうしてこの国の人々を守るのが、天使の役目なのよ』、と。


そんな母に、イリスも良く言ったものだ。『私もいつか天使になって、みんなと一緒にリルフォーレを守りたい』、と。


(私の考えは…みんなへの接し方は、間違っていたのかな…?)


もしかするとリタたちは、これまで先輩であるイリスを前に、中々自分の考えを言えなかったのかもしれない。その為に、イリスに価値観を押し付けてられている、と感じていたのなら、3人には申し訳ないことをしてしまった。


リタたちはもう、イリスの言葉には耳を貸してくれないだろう。だが、天使長カーシャなら、神殿の浄化に戻るよう3人を説得できるかもしれない。


そうしたらイリスも、リタたちにきちんと謝ろう。そして、3人の話に、しっかり耳を傾けよう。先輩なのに、イリスは3人がどんな夢を持っているのか、一度も聞いてあげられなかったのだから。


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