6-9.それぞれの祭り期間
食堂に移動して、リタたちは早速持ってきた料理を並べると、騎士たちに取り分ける。
3人の料理を待ちわびて、食堂には既に大勢の騎士が集まっており、あっという間に行列ができた。
「はい、チキンとキャベツのガーリック炒め、大盛です!」
「ありがとう!リタちゃんの料理と笑顔のお陰で、夜勤も頑張れるよ」
リタに椀を手渡されると、騎士は心から嬉しそうな笑顔で受け取る。
「いいえ!私には、お料理を作って応援するくらいしか出来ませんから…お仕事、頑張ってください!」
リタの言葉に、騎士は頬を染めながら、もう一度「ありがとう」と言って自分の席に向かっていった。
そんな様子を横で見ていたレイナは。
「…すごぉ~い、リタの必殺スマイル!」
「…えっ!?ちょ、ちょっと何!?」
「そうやって相手の心を掴むんだねぇ。勉強になります!」
両脇からそう耳打ちしてくる2人に、リタは顔を赤くして。
「もう、そんなんじゃないってば!からかわないでよ!」
「だって、さっきからリタのとこばっかり、騎士様が並ぶんだもん。ねぇ?」
「私たちも真似してみよ!」
そう言って微笑み合うレイナとエルダ。リタはますます、頬を赤く染めながら。
「ほらほら、次の騎士様が来ちゃうから!」
「はーい!」
こうして30分もしないうちに料理は無くなり、今はほぼ満席となった食堂の中、騎士たちが美味しそうに料理を頬張っている。
そんな光景を、リタはぐるりと見渡し。
(…やっぱり、いない…)
思わず、小さな溜息が漏れる。




