6-8.それぞれの祭り期間
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それからしばらく経った後、夕暮れ時の街に再び姿を現したリタたち3人は、守衛館に向けて料理を運ぶ最中だった。
「はぁ、さっきは危なかったね~!」
「リタがビシッと言ってくれなかったら、料理どころじゃなかったかもね」
弁当箱が入った大きなバスケットをそれぞれに抱え、レイナとエルダが安堵の笑みを浮かべる。
その間でリタは、つんと鼻を上に向けながら。
「当然よ。あの子、いつだって自分が正しいと思い込んでるんだもの。私たちには大事な役目があるのに」
「うんうん。あんなにたくさんの騎士様が、私たちの料理を待っててくれるんだもんね~」
「国を守る騎士様たちを支えてるわけだし、私たちのほうがよっぽど国のために貢献してるよね!」
宵闇で薄暗くなった街中だが、まだまだ人出は多い。途中大聖堂の前を通りかかると、中から美しい童声合唱が漏れ聞こえて来た。
「ああ、ちょうど祈りの時間か」
「懐かしい…私たちも、4年前の女神祭は聖歌隊に入ってたもんねぇ」
「そうそう、花天使って何だかんだこき使われるけど、聖歌隊に入ればただ歌ってるだけでいいし」
女神祭の期間中は、幼少の花天使たちも様々な形で貢献する。大聖堂や各地の教会の聖天使たちの手伝いや、祈りの歌を捧げる聖歌隊。そして祭り中、浄火を絶やさぬように交代で寝ずの番をすることも、大切な役割の一つだ。
「あの浄火の見張り番は辛かったな~。夜中にひたすら炎見てるだけで、寝るなってほうが無理だよねぇ」
「レイナ、途中でしょっちゅうカクンカクンしてたもんね!」
笑いあうレイナとエルダに、リタは首を横に振ってみせると。
「でも、私たちはそれを乗り越えてきたんだもの。今こそ苦労が報われるときよ!」
そう言うリタの視線の先には、騎士たちが忙しなく行き来する守衛間の門。
その門を、3人は笑顔でくぐり抜け。
「皆さん、お待たせしました!夕ご飯の差し入れです!」
門の向こうで、3人の姿気付いた騎士たちが、笑顔で迎え入れてくれた。




