6-7.それぞれの祭り期間
驚いて振り返るリタ。
「神殿は国の結界の要だよ。正常に浄化されなければ、いつ大きな魔物が入り込んでもおかしくない…!」
イリスの真っ直ぐな視線を受けても、リタは困ったような笑みを浮かべて。
「イリスってば、ちょっと大袈裟過ぎない?今だってこの通り、何も起こってないじゃない」
「そうだよぉ。きっと、毎日浄化しなくても大丈夫なんだよ」
「お祭りの間くらい、私たちだって羽を伸ばしてもいいんじゃない?」
リタの後ろから、レイナとエルダも加勢した。
「そんなことない…!魔物が来なかったのはたまたま幸運だっただけだよ!私たちには、リルフォーレの国民を守る責任があるの!」
いつになく強いイリスの声に、3人は一瞬、戸惑ったように顔を見合わせる。
「…『国を守れ』って言われても…私たち天使ってだけで、ただの女の子だよ?」
「そんな責任持てないっていうか…」
エルダとレイナが言う。イリスはさらに言葉を続けようとするが、それを遮ってリタが。
「あのさ。ずっと思ってたんだけど、イリスってちょっと、自分の考えを相手に押し付け過ぎじゃない?」
「…え?」
今度はイリスが、困惑して瞬きする。
「今までだって、神殿の浄化が終わっても『薬を作れ』とか『教会の手伝いもしろ』とか…イリスはそうしたいんだろうけど、私たちは他にやりたいことがあるの。イリスに、私たちの行動を強制する権利なんてないよね?」
「強制なんて…私はただ、天使はみんなで助け合うものだと思って」
ここでリタが、イリスの手を乱暴に振り払った。
「だから、それが押し付けだって言ってるの!私たちにだって、夢や目標があるんだから…!今まで先輩だと思って我慢してたけど、私たちもう、イリスにはついていけない」
その言葉と、冷ややかな視線を残して――リタは他の2人と共に、歩き去っていく。
残されたイリスは一人、ただ立ち尽くすしかなかった。




