6-5.それぞれの祭り期間
「ほら、イリスにも1個やるよ」
「わあ、いいの?ありがとう!」
アークからスコーンを受け取るなり、イリスは早速一口かぶりつく。
「ん~、甘くて美味しい」
イリスが蕩けるような笑顔を浮かべるのを見て、アークは小さく噴き出した。
「子供の頃から変わってないな。甘いものを食べると元気になるところ」
「む!アークだって、昔から甘いもの大好きだったくせに!」
イリスの言う通り、アークもあっという間に手の中のスコーンを平らげてしまった。
「…随分、疲れてるみたいだが、家まで送って行こうか?」
心配そうにイリスを覗き込む、アークの瞳。イリスは微笑みながら、首を横に振った。
「大丈夫!ちょっと忙しくて、バテちゃっただけ。今日はこの後家に帰って、しっかり休むようにするから」
「…分かった。あんまり無理するなよ」
「うん」
アークに頷いて見せてから、イリスはふと思い立ち。
「…ねぇ、アーク。お祭りが始まってから、強い魔物が入り込んだりとか、してないよね?」
聞かれて、アークは目をぱちくりさせながらも。
「ああ、特に目立ったことは。今朝は小さな魔物がいつもより多く入り込んで来たが、今はもう落ち着いてるよ」
「そっか。それなら良かった…」
ほっと胸を撫でおろすイリスに、アークは不思議そうに首を傾げる。
「何か、気になることでもあったのか?」
「ううん、何でも!アークもお仕事頑張ってね」
イリスが言うと、アークも小さく笑いかけてから、街に向けて駆けて行った。




