表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/122

5-5.天手古舞

(アークの笑った顔…あの頃のまんまだったなぁ)


今朝、開祭の儀を終えたイリスのもとに、思いがけず会いに来てくれたアーク。名前を呼ばれた途端、気が付けば夢中で駆け寄っていた。


何年もの時間の隔たりなど無かったかのように。


アークが騎士団に入り、その実力がどんどん認められていくのが嬉しい反面、イリスのもとからはどんどん離れていってしまうような、そんな感覚を抱いていた。


日々の隊務に追われ、きっともう、イリスのことなど忘れてしまっていると思っていた。だけどアークは、ちゃんと覚えていてくれたのだ。天使として頑張るイリスの姿を、しっかり見ていてくれた。


街で遠くから見ていただけでは分からなかったが、6年前にこの家を出た時より、顔立ちはずっと大人びていた。優しい口調はそのままだったが、その声音は低く落ち着いて、身長も思っていたよりずっと高くなって――


大きな手でイリスの頭を撫でた後、仕事に向かっていったアークの姿が、瞼の裏に浮かぶ。アークの言葉を、笑顔を思い出すだけで、どんなに疲れていても、また頑張ろうと思える。


(私も…もっとアークの力になりたいな)


アークも今頃、疲れをおして仕事に打ち込んでいることだろう。ケーキの差し入れ以外にももっと、イリスが役に立てることは無いだろうか?


そういえば、騎士団の拠点である守衛館の中にも、医療施設があると聞く。もしかすると、そこでも薬が不足しているかもしれない。


責任感の強いアークのことだ。国民のための大切な薬が切れたとなれば、無理をしてでも材料を調達しに行くだろう。それならば。


(…よし、ケーキと薬をたくさん作って、騎士団に差し入れしよう。明日は早起きするぞ!)


やることが決まってすっきりした表情のイリスは、まずは目の前の料理をしっかりとお腹に入れ、エネルギーを補充するのだった。


しかし、その後結局、イリスがケーキと薬を作って届けることは無かった。


最初のトラブルは、翌日から始まることになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ