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1-3.光の国リルフォーレ

祭壇の間で待つこと数分。


ギィ、と音を立てて、古い木の扉が徐に開く。


「おはよう、イリス。もう来てたのね。」


「天使長様、おはようございます」


先頭で入って来たのは、優美で凛とした初老の女性。国内全ての天使たちの最高責任者、天使長カーシャだ。


カーシャは後ろを振り返ると、連れて来た3人の少女たちを、順にイリスに紹介する。


「右から、リタ、レイナ、エルダよ。神殿の守護職として、今日から貴女とともに任務にあたってもらうわ。」


名を呼ばれると、少女たちは小さくはにかみながら、イリスに会釈した。そんな彼女たちに、イリスも微笑んで一礼を返す。


「さあ、早速“就任の儀”を始めましょう。イリスは、その間少し待っていてちょうだい」


そう言うなり、カーシャは3人の少女を引き連れ、祭壇の前へ進む。イリスは一番後ろの椅子に腰かけて、そっと儀式を見守るのだった。



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就任の儀を無事に終えると、カーシャは少女たちの案内をイリスに任せ、職務に戻っていった。


イリスと少女たちは持ち場となる神殿に向かうため、一緒に大聖堂を後にした。


「今日からよろしくね!イリス…って呼んでいい?」


大聖堂から出るなり、リタがイリスに話しかけてくる。肩先で揺れるふわふわのプラチナブロンドに、大きな淡いグリーンの瞳が、とても愛らしい少女だ。


リタに向けて、イリスも満面の笑みで頷く。


「もちろん!こちらこそよろしくね、リタ」


その横でほっと胸を撫でおろすのは、レイナだ。


「良かった…!イリスは私たちと同い年だけど、聖天使としては3年も先輩だもん。なんて話しかけようか、ドキドキしてたの。」


大地色の髪をセミロングの長さに切り揃え、瞳の色はリタよりも深い緑色。


レイナの言う“聖天使”とは、天使長から一人前と認められ、役職に就くことが許された天使のことだ。


天使に選出された子供たちは、すぐに仕事を与えられるわけではなく、まずは“花天使”として修行に励む。


花天使たちは、教師役の聖天使たちから様々な講義を受け、また先輩の聖天使たちの仕事を補佐することで経験を積み、数年かけて天使としての知識と実力を積み上げていく。


そして、上位天使たちの審議を経て、聖天使へと昇格するのだ。


イリスが花天使として修行を始めたのは12歳の時。当時からその能力は抜きんでており、通常5~6年程かかるとされる修業期間を、わずか3年で修了してしまった。


以来、今日に至るまでのおよそ3年間、イリスはずっと神殿の守護職に就いている。


つい先日聖天使になったばかりの3人からすれば、イリスは既にベテランなのだ。


「私はイリスより一つ年上だけど、神殿の仕事は分からないことだらけで…これから、色々教えてね。」


エルダはすらりとした長身で、青色の瞳とストレートの黒髪が、落ち着いた印象を与えている。


親しみのこもった笑みを浮かべる少女たちに、イリスの胸にも嬉しさが込み上げた。花天使になって数か月もすると、イリスはどんどん上級の講義を先取りするようになり、気付けば周りは皆年上の天使ばかり。


先輩の天使たちはイリスにとても優しく接してくれたが、同世代の友人がほとんどいないイリスは、3人の少女たちとの出会いを心待ちにしていたのだ。


「私も、みんなが守護職に就いてくれて嬉しいよ。これから、みんなで頑張ろうね」


イリスの言葉に、3人も笑顔で頷いた。



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