5-2.天手古舞
「…これ、どう考えてもラブレターだよねぇ…」
守衛館内の食堂で夕食のスープを口に含みつつ、ソフィーは先ほど受け取った袋を手に、裏表じっくりと眺めてみる。リボンと一緒にとめられた小さなカードには、可愛らしい丸文字でメッセージが綴られていた。
『親愛なるアーク様へ 心からの感謝と尊敬を込めて 聖天使リタ』
「ん?ラブレターが何だって?」
向かいの席で同じく夕食をとっていたジルが、視線を上げた。
「いや、さっき入り口で、天使の子から預かっちゃってさ。アーク宛の贈り物」
「ええっ!?てて、天使様から、アーク先輩へラブレター…!?」
ガタッ!と大袈裟な音を立てて立ち上がり、カイは目を白黒させている。
「カイ、声が大きい」
「い、いやだって!一大事じゃないすか!!」
興奮冷めやらぬ様子のカイを、隣のジルが引っ張って椅子に座らせる。
「くぅ~っ、やっぱり出来る男は違うっすね!初日から運命の天使様を引き寄せるとは!」
「う~ん、それは、どうかな?」
カイに対して、苦笑がちに首を傾げるソフィー。
そうこうしているうちに、詰め所にはようやく、一仕事終えたアークが戻って来た。
「お疲れ。みんなちゃんと飯食えてるか?」
「アーク、お疲れさん。見ての通り、先にいただいてるよ」
「いや、先輩!そんな事よりも!!」
朗らかに笑うジルの横で、カイが身を乗り出す。
きょとんとするアークの前でソフィーが立ち上がり、例の袋を差し出した。




