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4-11.開祭の儀

同じ頃。


石造りの道を、大聖堂に向けて必死に走る、リタの姿が。


(早く…早く行かないと、間に合わない…っ!)


女神祭初日の今日、開催の儀の終了後に、騎士たちが大聖堂から一斉に持ち場に向けて出立する。


その勇壮な佇まいを一目見ようと、また祭りの間平和を守ってくれる騎士たちを激励しようと、大聖堂前には多くの国民が集まるのだ。


(素敵な騎士様を見つける最大のチャンスだっていうのに…よりによって今日寝坊しちゃうなんて!)


昨晩、リタは“美粧”の魔法種(カインド)を駆使して特製の美容液パックを作り、女神祭に向け気合いを入れてスキンケアをしていた。


そこまでは良かったのだが、パックをしている間、新しいリップにチーク、ルースパウダーと次々に良いアイディアが浮かんできて、夢中になって作っているうちに、気付けばすっかり就寝が遅くなってしまったのだ。


(も~、お父さんもお母さんも、なんで起こしてくれなかったの!!)


ベッドから飛び起きるなり、リタは大急ぎで身支度を済ませ、全速力で大聖堂へと走ってきたのである。


正門が見えて来た。騎士たちは大勢集まっているが、まだ出立式が始まっている様子はない。良かった、何とか間に合ったようだ。


「リター!こっちこっち!」


先に着いていたレイナとエルダが、場所を取っておいてくれたらしい。リタも笑顔で、2人に駆け寄る。


その時――


「…きゃっ!?」


大聖堂の角から突然、誰かが飛び出してきた。


ぶつかった拍子に、リタの身体が大きく傾く。倒れる!と思わず目を閉じた、次の瞬間。


ぐいっと、大きな手に力強く引き上げられた。


「大丈夫ですか?」


聞こえた声に恐る恐る目を開けると、そこに。


青い瞳の端正な顔立ちが、視界いっぱいに広がっている。


リタは転倒する寸前に、見知らぬ騎士の腕にしっかりと支えられていたのだった。


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