3-8.女神祭
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大聖堂とリルフォーレ城を繋ぐ道沿いに、国の花職人たちが管理する花園がある。
女神祭をはじめとする様々な催しに使われる花を育てているのだが、その真ん中には白い小さな東屋があり、市民たちの憩いの場となっていた。
そして今、その東屋の中では、リタ、レイナ、エルダの3人が、お茶菓子を持ち寄ったテーブルを囲んでおしゃべりを楽しんでいたのだった。
「あ~あ、聖天使になれば何でも市場でもらえると思ってたのに、アクセサリーは対象外なんて。自分で作るとか超大変じゃん!」
テーブルの上にはお茶のほかに、大量のレースやフリル、そして飾り石のビーズが積まれている。リタは繊細なレース生地の端を摘まみ上げて、憂鬱そうに溜息を吐いた。
「仕方ないでしょ、王様が決めたことなんだから。さっきお店で作り方は教えてもらったし、これ見てコツコツつくるしかないよね~」
そう言うレイナの手には、先ほど市場の店主が書いてくれた作り方のメモ書きが。
「こんな細かいの、作れる気がしないんだけど!」
「まあまあ、『自分で作ってる人もたくさんいる』ってお店の人も言ってたじゃん。やってみれば何とかなるよ、きっと」
メモ書きを横目で見てからテーブルに突っ伏してしまったリタを、隣でエルダが宥めた。
リルフォーレでは、人々は基本的に自給自足の暮らしを送っている。
皆それぞれに畑で作物を育て、鶏や羊を飼って食材を調達し、服や小物などの日用品やちょっとした家具まで、生活に必要なものは手作りする。
しかし、そうなるとどうしても作れるものに得手不得手が出てくるので、市場での物々交換が始まったのだ。
騎士や天使は、通常その任務のために多くの時間を割かねばならず、このような自給自足は免除されている。
とは言え、国が保証しているのはあくまで普段の生活に必要な品物のみ。アクセサリーなどの高級品は、当然対価が必要となるわけである。
「ほら、リタも一緒に作ろ。女神祭で素敵な騎士様と出会いたいでしょ?ね、みんなで協力してがんばろ?」
「…ん」
レイナがおっとりとした笑顔を浮かべると、リタもようやく顔を上げた。




