表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/122

第三章 女神祭

リルフォーレに、爽やかな夏風が吹き始めた6月の午後。


イリスは今日も、薬を届けるために教会を回っていた。


(よし、今日の分はこれで終わり!あとは…市場に寄って帰ろう)


本日最後の届け先を後にして、イリスは上機嫌で歩を進める。


神殿守護職に新人の3人が配属され、最初の頃はやはり、毎日のようにリタたちの助っ人に入る、忙しい日々だった。だが、今では3人とも大分仕事に慣れてきたようで、イリスの仕事も徐々に落ち着きを取り戻してきている。


(久しぶりに、新しい布地をもらってこよう。どんな服に仕立てようかな)


リルフォーレの市場は、物々交換が主流だ。イリスはいつも、余分に作った薬を持って行き、必要な日用品と交換してもらっている。


最も、天使や騎士など、国を守護する任務にあたる者は、国が衣食住を保証しているため、市場の品物は基本的にはタダで交換してもらえる。


とは言え、どれも市場の人々が丹精込めて作り上げた品物だ。きちんと対価を払いたいと、毎度十分な量の薬を持参するイリスだったが、大抵は通常の半分以下の対価で、皆品物を譲ってくれるのだった。


夏に向けて新しいワンピースが欲しいな、と、空想を膨らませていると。


「あれっ、イリスじゃない!」


「ルシアさん!」


前方から歩いてきた女性に、イリスはぱっと顔を輝かせる。


「久しぶり~!イリス、今年から守護職で先輩になったんだってね!」


「ええ…でも、まだまだルシアさんには及びませんけど」


漆黒の瞳と長髪。二十代半ばの美しい女性が、イリスのもとへ駆け寄り、少女のようなはじける笑顔を浮かべていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ