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終章 約束のその先へ

イリスに退院の許可が出たのは、入院してから10日目のことだった。


ソフィーとの保管庫整理の後も、イリスは施設内で雑用を見つけては、手伝いを買って出ていた。身体をよく動かしたので、体力が戻るのも早かったのかもしれない。


そしてその間、ルシアやハンナ、そして他にもたくさんの天使仲間が、見舞いに来てくれた。


あれほど辛かった“魔力欠乏(パワーラック)”の後遺症も今ではすっかり鳴りを潜め、体調はほぼ女神祭の前の状態に戻りつつあった。アークを始め、支えてくれた守衛館の人々や天使界のみんなには、感謝の想いしかない。


天使長カーシャによると、リタ、レイナ、エルダの3人は、花天使の最下級まで降格の上、力が戻るまでは毎日、国民への奉仕活動を義務付けられたそうだ。


他の上位天使からは、天使界からの追放が妥当だとする意見も多かったが、最終的にはカーシャが、3人を天使界に残す判断をした。


天使界から追放したところで、リタたちが悔い改める可能性は極めて低い。それならば1から心を教育しなおし、今度こそ一人前の聖天使に育て上げるのが、天使界として彼女たちを迎え入れた責務だろう、と、カーシャが周りを説得したという。


とは言え、怠惰でプライドの高いリタたちが、この厳しい罰に耐えられるかは分からない。あるいは自ら、天使界を去る選択をすることも十分考えられる。


ここから先は、あの子たちの根性次第ね、と、カーシャは苦笑しながらイリスに報告してくれた。



「うお、懐かしいな、この部屋!あの頃のまんまだ」


イリスの家で、アークはかつて自分が使っていた部屋の扉を開けると、興奮気味にそう呟いた。


「アークが出て行ってからもずーっと、そのまんまにしてあるよ」


「これ、父さんからもらった本だ。失くしたと思ってたけど、こんなところにあったんだな」


アークは本棚から一冊の本を手に取ると、ページをめくりながら目を細める。


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