表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/122

10-17.祭りのあと

みるみる顔を真っ赤に染めると、飛び退くように立ち上がる。


「…なっ、何言って…!まだ治りきってもいないのに、無理に決まってるだろ!!」


「ううん、平気だよ?今はどこも何ともないもん」


そう言って微笑むイリスを前に、一瞬、理性がぐらりと傾く。


「…っ、だ、ダメだ!お前はもう寝ろ!俺は見張りに戻る!!」


「うぷ!」


すんでのところで持ち堪えると、アークはイリスに頭から布団を被せる。そして自分はぎこちない足取りで、扉近くの椅子にドスンと腰掛けた。


しばらくの間、アークはイリスに背を向けて、ひたすら耐えていたのだが――やがて、ベッドから寝息が聞こえて来たので、恐る恐る振り返った。


近寄ってみると、イリスは既にベッドの中で熟睡している。


(こいつ…この状況で、肝据わってんな…)


まだ赤みを帯びたままの顔を右手で覆い、思わず溜息が漏れた。押さえ込んだ胸の奥ではまだ、欲求がくすぶっているのを自覚する。


目の前のイリスの寝顔には、銀の髪が少しかかっていた。アークはそれを、指でそっと掬い取り。


(…少しくらい仕返ししたって、罰は当たらないよな)


触れても、起きる気配はない。無防備に眠り続けるイリスに、そっと口付けた。


それから、イリスが退院するまで毎晩、アークが眠れぬ夜を過ごしたことは、言うまでもない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ