10-14.祭りのあと
「女神祭や、大きなイベントが終わった後に、花天使たちに薬の整理を依頼するのはどうでしょうか。天使たちも身につけた知識を実践で活かせるので、いい経験になると思います」
「なるほど、そりゃいい考えだな」
ジルは朗らかに笑うが、ソフィーは。
「それでまた、しょうもない奴らが同じことを繰り返さないといいけど…」
そう、ぼそりと呟くのであった。
さて、そのソフィーの隣では、イリスがフォークを置いて両手を合わせる。
「ごちそうさまでした!美味しかった~!午後からの作業も頑張ろ!」
「おい、イリス…お前、またあの保管庫に行くのか?」
アークがぎょっとしてイリスを見るが、イリスは当たり前のように頷いて。
「うん、まだ薬の整理が終わってなくて…」
「イリス、午後からは私も手伝うわ。任せてばっかりじゃ悪いし」
「えっ…でも、お仕事、忙しくないの?」
ソフィーの申し出に、イリスは心配そうに聞くが。
「大丈夫、どうせ今日は内勤だから。それにやっぱり、今は1人で作業しない方がいいわ。もし貧血起こして倒れても、誰も気づいてくれないかも知れないでしょ」
「…そうだね。午前中は中々作業が進まなかったから、ソフィーがいてくれると助かるな」
イリスが言うと、ソフィーも微笑んで。
「力を合わせて、今日中に終わらせちゃお。…もし邪魔が入ったら、私が締め上げて追い払うから」
そう言って、イリスの向こうに座るアークを、ちらりと見やる。
「…分かった。よろしく頼むよ」
アークが頷き、ソフィーも満足げに笑みを深める。
その正面ではジルとカイが、やや青ざめた顔で苦笑しながら、『どうか平穏な午後が過ごせますように』、と女神に祈るのだった。