10-13.祭りのあと
それから、30分ほど経った頃。
食堂の一角に、アークたちと共に昼食を取るイリスの姿があった。
「いや~…それはイリスさん、とんだ災難だったっすね」
食堂で一連の出来事を聞いたカイは、隣に座るジルと顔を見合わせた。
「あいつら、全員まとめて叱りつけといたから。イリスは善意で薬の整理を引き受けてくれたのに、あの下心丸出しは何なのよ!?まったく、しょうもないんだから…」
「ありがとう、ソフィー」
まるで自分のことのように怒ってくれるソフィーに、イリスも自然と笑顔がこぼれる。この一件ですっかり仲が深まった2人であった。
「それにしても、うちの薬保管庫がそんなにカオスだったとは…まぁ、俺らに薬の専門知識は無いし、一度持ち出すと正直どこに返すのか忘れちゃうんだよな」
ジルがそう言って頭を掻く。そんな様子に、イリスは。
「あの…良かったら今後定期的に、花天使の派遣制度を利用してみてはいかがですか?」
「花天使の、派遣制度?」
アークが聞き返すと、イリスは頷いて。
「聖天使になって本格的な職務に就く前に、花天使は色々な仕事を経験しなきゃならないの。教会のお手伝いが大半だけど、他にも農作業の手伝いとか、医療の知識を学んだ上級の子たちは、医療施設に派遣されることもあるんだよ」
「へぇ、医療施設にも…」
ジルも興味深げに頷く。