10-11.祭りのあと
イリスが着々と保管庫の整理を進めていると、1人の男性騎士がふらりと入って来た。
「…あれ?あなたは確か…イリスさん?」
見慣れない長い銀髪の後姿に、騎士はぽかんとしている。声を掛けられたイリスは、笑顔で振り返ると。
「こんにちは。お薬のご入用ですか?」
「ああ、えっと…ちょっと頭痛がするんで、薬をもらおうと思って…」
「頭痛ですね。ちょっとお待ちください。確かこの辺に…」
そう言ってイリスは、整理途中の薬の束を探し始める。
「あった!では、詳しい症状をお聞きしてもよろしいですか?」
イリスは騎士から症状を聞き取ると、数種類の頭痛薬から一つを選んで手渡した。
「しばらくしても痛みが改善されない時は、また相談に来てくださいね」
「ありがとうございます!実はずっと、どの薬を選べばいいか分からなかったんで…助かりました!」
騎士は満面の笑みで薬を受け取り、保管庫を後にした。
そして、昼時。
仕事から戻ったソフィーは、イリスのいる薬保管庫に速足で向かっていた。
(イリスさん、まだ作業中かな…お昼ごはん、誘ってみよう)
しかし施設内に入ってみると、いつになく混み合っている。そして何故か、保管庫の入り口から、騎士たちの長蛇の列が出来ていた。
(…な、何?この行列は…)
嫌な予感がして、ソフィーは保管庫の中を覗き込んだ。
そこで、ソフィーが目にした光景は。




