108/122
10-6.祭りのあと
しかしアークは、ベッドの前を通り過ぎ、窓辺から外を眺める。
しばらくしてから、ぼそりと。
「…さっきは、すまなかった。緊急事態とは言え、その…」
「えっ…」
アークの言葉にイリスは驚き、そして真っ赤に頬染める。
窓の外をじっと見つめながら、アークも同じく真っ赤になっていた。
あの時はイリスを助けることに必死で、気付いたら身体が動いていた。だが、今となって思い返せば――自分がしでかしたことに、どんどん罪悪感が募っていく。
「いくら命を助けるためでも、あれは…お前は、嫌だったんじゃないかと思って」
「い、嫌なんかじゃないよ!!」
自分でもびっくりするくらい、大きな声が出ていた。
が、それ以上に驚いた顔で、アークが振り向く。
「あ、あの…だから…謝らないで」
目が合った途端、顔が火を噴きそうなほど熱くなり、イリスはやっとそう言葉にすると、再び布団を頭まで被ってしまった。
そんなイリスに、アークは。
「…そっか。それなら、良かった…」
心から胸を撫でおろす。そんな声音に、イリスは恐る恐る、顔を覗かせると。




