9-13.真実
「…まさか、そんなことが…」
頭を抱えるアークに、イリスは。
「…アーク、私を神殿に連れて行って」
驚いてイリスを見たアークの目を、イリスも真っ直ぐに見つめて。
「力を使える神殿守護職は、もう私しかいない。私が行かなきゃ」
「ダメだ。医者にも言われただろう?今は安静にしないと」
強い口調でアークが止めるが、イリスも屈しない。
「治療とスープのお陰で、大分回復したから大丈夫!こうしている間にも、結界はどんどん弱まってしまう」
「…っ」
アークが言葉に詰まる。結界のことを考えれば、神殿の浄化は不可欠なのだ。
ここでイリスは、ソフィーの方を見上げて。
「…あの、ひとつお願いしてもよろしいですか?」
「ええ、勿論。何でしょうか?」
ソフィーが応えると、イリスはほっとしたように笑って。
「天使長様に、言伝をお願いしたいんです。『明日からの神殿守護職を、至急手配してほしい』と」
「…分かりました。すぐにお伝えしてきます」
ソフィーはイリスに向けてしっかりと頷いて見せ、颯爽と病室を出て行った。
イリスはもう一度、アークを見つめると。
「アーク、お願い。今日だけ、私に浄化させて。それが終わったら、ちゃんと安静にしてるから」
アークは相変わらず、苦しい表情を浮かべていたが。
「…分かった」
最後には、頷いた。




