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7.女子会(文化の違い)


 さて、本日のノルマ達成、完遂。帰ろう帰ろう。


「アオイっち、アオイっち!」

「ア、アオイっち?」


 聞いたことのない呼びかけに俺は動揺している。声を掛けてきたのは派手顔のこのみちゃんだ。後ろにユキちゃんとそうちゃんもいる。なんかみんなモジモジしている。女の子らしい仕草でそそる!


「お腹減ってない? 帰りにみんなでファミレス行かない?」


 お、女の子からのお誘いだ。それも食事の! 女の子と親密になれるチャンス。ユキ、そう、このみの三人は、平均より可愛い。こ、こーしてはいられない。早速OKの返事をしなくちゃ!


 そんな訳で、女の子実質3人+男の子実質1人でファミレスへ行くこととなった。ナオざまぁ!

 


 ファミレスだよ! 島にない施設だ!


 中学生ともなれば、女の子達はファミレスへ行けるんだ!

 俺、女の子になって良かった。……そう書くと性転換手術したみたいなので、もとい……女の子で良かった。あの時の俺! 精神崩壊する必要はなかったんだぞ。


 そして、席ッ! 女の子と並んでくっついて座る席ッ! 女の子の体は柔らかいんだぞ! 温かいんだぞ! 俺自身で試したから確実だ!


 俺の横は派手顔美人のこのみちゃん。

 向かいの席には注文を済ませたそうちゃんと、メニューのタブレットを覗き込んでうんうん唸ってるユキちゃんが座っている。


「なあなあアオイっちさんよー」

 このみちゃんが肘で脇を(つつ)いてきた。こそばゆいのと女の子の体の一部が俺の防御力が弱い部分に接触しているのとで、ドキドキ胸胸している。何を言い出すんだろう? まさか女同士でお付き合いしてくれと……そんなワケないか。いや! この3人全員が俺とお付き合いしてくれとか……妄想よ静まれ。


「睦月君とはどこまでいったさー?」

「のほッ」


 全く無防備な腹をえぐられた感触。よりによってナオとの関係を聞いてくるとは、想定外も想定外だ。


「幼なじみってだけだけどなー」


 あいつさー、島で二人きりの時は気にも留めてなかったんだけど、こっちへ来て分かった。標準的な男子中学生を見て分かった。

 あいつ、イケメンの部類に含まれてる。もちろん、有名人としてのイケメンにはほど遠いけど、量産型中学生の中ではイケてる方の口だ。それもカワイイ系。


 それによる誤解と嫉妬だろう。俺、心理学に詳しいんだ。古本で囓ったことあるんだ。


 ここでははっきりと無関心なことを強調しておかなければ。変に同性の恋人、じゃなくて、男の恋人なんかいる様な噂が立ったら、女の子の恋人を作れない。


「じゃぁ、ぶっちゃけるよ」

「「ふんふん!」」


 このみちゃんとそうちゃんが身を乗り出してきた。ユキちゃんはまだメニューと格闘中だ。


「幼なじみというよりは――」

「「ふんふん!」」


 鼻息が荒い。女の子でも鼻息が荒くなるときがあるんだ。


「姉弟? お(俺じゃねぇ!)、わたしが姉でナオが弟みたいな? 男じゃなくて弟だなぁー。あ、ナオはきっと自分を兄だと思いこんでるだろうな」


 男同士の幼なじみかつ、これまでのあらすじを考慮して意訳すると姉弟になる。


「ああ、なんて勿体ないことを!」


 そうちゃんが顔に手を当てて仰け反った。ユキちゃん、メニューが決まったらしく、タブレットを操作している。


「でもでもでも、自己紹介の時いってたぁ、2人で温泉入ってたの何ともなかった? ってか、ナオ君の股間見た?」

 そうちゃんのキャラがいまいち分からない。見た目、おしとやかな和風美少女なんだけど。


「実際、裸見せても見ても何とも思わなかったしー。あっちも何とも思ってないしー。股間は大きいのがブラブラしていた。ブラブラばかり見てたから玉袋は記憶にない」

「ケヒュッ」

 そうちゃん、変な音立てて息しないで。


「いやさ、睦月君はどうなのさ。アオイっちの体ガン見してなかった? この頃の男の子って、女子に興味津々でしょ? 獣の目であたしらの体見てくるし、とぼけ方は下手くそだし」


 なんかフリーズしたっぽいそうちゃんの代わりにこのみちゃんが……顔が近い! 望むところだけどッ!


「普通だけど? 正面から顔見て話してた。あの頃はおっぱいもなかったし。そんなストンなの見てもつまんないだろうし」

 俺も興味ないわ。ストンな体なんぞ興味ないわ。真正面から見ても見られても何とも思わねぇわ。


「今は?」

「……んー?」


 俺は腕を組んで脳内の記録英場を検索した。単語は「素っ裸」。期間は「初潮から現在まで」。

 検査終了。検査結果表示。


「無いなー。最近見せてないなー。おっぱい膨らんでからこっち、見せる機会なんかなかったなー」

 検査項目に「下着」を追加すれば何回か有るけど、素っ裸は無い。


「ん?」

 このみちゃんとそうちゃんが、口を半開きにして固まっていた。


「ど、どうかしましたか?」

「え? あれ? わたし達が変なのかな? 見せる機会? え?」


「子供頃、男友達と見せっこ、……しなかった?」

「え? え?」


「ユキたんドリンクバーいく。のいてのいて」

 ユキちゃんがそうちゃんのお膝に乗って、「んしょんしょ」と席を抜け出した。高等テクニックだ!


「お、(俺じゃねぇ!)わたしもいく!」

 どさくさに紛れてユキちゃんの真似をしよう


「あ、はい」

 このみちゃんが立って席を空けてくれた。


 

「お抹茶ミルクをカップに半分入れるのら」

「ふんふん」


 俺はユキちゃんに最新のJC式ドリンクバーの使い方カスタムをレクチャーしてもらっている。


「んねぇ、残り半分はー、炭酸水をどばどば。シロップ1個。抹茶ミルクソーダのできあがりンなー!」

 けっこうキッツイの飲んでるな、JC。これはムーブに乗るしかない。俺も同じのを作った。


 席に戻ったら料理が運ばれていた。俺たちと入れ替えにこのみちゃんとそうちゃんがドリンクバーへ走る。

 彼女らが選んだのは単体のコーラとメロンソーダ。ハーフアンドハーフは俺とユキちゃんだけだ。

 それと、このみちゃんが眉間に皺を寄せて、俺たちのハーフアンドハーフを睨み付けていた。


「うーん、お(俺じゃねぇ!)わたしにとって、抹茶ミルクソーダは甘さが足りない」

「ならば、炭酸水の代わりにコーラを入れるのら」

「その手があったか!」


 このみちゃんの眉間の皺が深くなったのが印象的だった。


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