私の家の庭よね…
「わかればいいんだよっ、わかればっ」
えへんと得意げな顔をして見せたつもりだろうが二重アゴが気になりますよ猫さん。
「では、可愛らしい猫さん。先程は蹴飛ばしてしまいすみませんでしたわ。私か気がついたらこの場所にいて少々焦っていたのです」
猫さんの小さな耳がピクッと動く。
…絶対もう少し痩せたほうがいいと思います。せっかく綺麗な黄色と緑のオッドアイをお持ちの美形顔なのだから。
「気がついたら…?おかしなことを言うね君」
おかしいのはあなたの体型や猫さん。
だからそんなにケラケラ笑わないでもらえるかしら。
「だってここ聖域だよ。誰でも簡単に出入りできるようなとこじゃないんだよ?それを迷い込んだってっ!ぷくくっ」
セイイキ?
はて、なんのことかしら…私は自分の庭を歩いていただけなのですが。
そして楽しそうね猫さん。
「猫さん、申し訳ないけど本当にいつのまにかここにいたの。それと聖域ってなんなのかしら?」
私の言葉を聞くと猫さんはピタッと笑いを止めて真剣な顔になった。
「君…まさか本当に無自覚でここに入れたってこと?」
私ったらすごいことできちゃったのかしら。なんだか照れますわね。