必要なもの
高熱後に12歳に戻ってから早2日。
腰までの髪型ある燃えるような赤髪を肩までバサリと切った。
元々の癖毛でいい感じにくるくるして自分的にはなかなか可愛いと思う。
そう思い、指でくるくるさわっていると…。
「お嬢様、王太子殿下がお見舞いにとお越しですがいかがされますか?」
は?
ふざけてるのかしら。
目覚めて2日も経ってるのに今更お見舞い。
バカにするにも程がある。
結局は形だけの婚約者だったってことね。
今となると冷静にわかる。
「お断りして」
「はい、すぐにお通し…え?お断り、ですか?」
「ええ。だって会いたくないのだもの。今更お見舞いとか、前もって連絡を入れて訪れる事もできないなんてありえないと思わない?」
前回の私は殿下のこと好きではなかったが、嫌いでもなかった。
むしろ顔はタイプだから笑顔は好きだったくらいだ。
パートナーとしては尊敬していたし、生涯共にしようと決めていた。
が、今となってはどーでもいい。
殿下のために自分を抑えて我慢するなんてまっぴらだ。
「だからね、ファル。殿下にはお帰りしてもらって?」
「か、かしこまりました」
ファルは顔を青くしてパタパタ走っていった。
ごめんね、嫌なこと頼んで。
でも私の人生に殿下は必要ないの。
婚約破棄も早くしてもらわないと。