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始まりの日

「水…み、ず」


「お嬢様!お目覚めですか!すぐにお水をご用意して参ります。」


ゴクゴクッ。

生き返る。

水がこんなにも美味しく感じるなんて。

あれからどれくらい経ったんだろう…

石の床だったはずなのにやけに柔らかい。

っ。

コップを受け取った自分の手を見て驚いた。


「手がきれ、い。」


「?当たり前ですよ!お嬢様は侯爵家のご令嬢ですもの。お肌も髪の毛も、もちろん手だってピカピカのスベスベですっ」


何を言ってるの。

少なくても2週間以上は何もない石の牢にいたのよ。

そんなはずが…

自分の顔や髪の毛もペタペタ触れる。


「うそよっ」


自分の手の感触が信じられず鏡の前まで急ぐ。


そこには映っていたのは、世の中の汚れなんて何も知らないピカピカに磨かれた純粋無垢の美少女だった。


どう、いうこと?

私は確かに学園に通っていたから16歳だったはず。

今の私はどう見てもまだ幼さが残る顔だ。


「ねぇ、私って今何歳なの?」


「え?あの?お嬢様は今12歳でございます。そして1週間後は待ちに待った入学式でございます!熱が下がって本当によかったです」


12歳。学園に通うのは12歳から5年間だ。

なるほど。

どういう原理かわからないけど時間が巻き戻ったと言うことかしら。

いっそ戻るならもっと前、婚約前とかにしてくれたらよかったのに。


ふっ、わがままね。

せっかくのチャンス、私はこの学園生活で未来を変えて見せるわ。


そうね手始めに、前回心残りだった恋でもしてみましょうか。

新しい自分に生まれ変わるのよ。

周りとももっと関わっていく。

1人で冷たい牢の中死んでいくなんて惨めなすぎる。

自分の人生は自分で切り開いてみせるんだから。


「あーそこのあなた、ファルっ!少し髪型を変えたいの。手伝ってくれるかしら?」


「っ!ももももも、もちろんです!」


ファルは初めて名前が呼ばれて嬉しかったのか頬を染めてコクコク頷いてくれた。

こんなことならもっと早く名前を呼んであげればよかったわ。

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